2020/03/13

地テシ:136 KUTO-10の巻、と、散歩をしようよ! の巻

「偽義経冥界歌」の休演期間が延び、なるべく自宅に籠もっている私ですが、いやいや引き籠もってばかりではいけません。外に出てみましょう。散歩をしましょう。散歩ついでに娯楽も楽しみましょう。
てなワケで、以前にもご紹介した、私がチラシデザインをしているプロジェクトKUTO-10「なにわ ひさ石 本店」を下北沢シアター711に観に行ってきました。

受付で除菌スプレーをして下さるスタッフさんがおり、会場は開け放たれて換気されており、客席はゆとりを持った並びになっており、トイレに行けば帰りにまた除菌スプレーをして下さるまた別のスタッフさんがおり、ウイルス対応の空気清浄機が(開場時はフルパワーで、本番中は静音で)稼働しており、マスクをお持ちでないお客様にはマスクが配布されるという、実に念の入った対応が成されておりました。

作品は村角太洋さんお得意の緻密かつベタなシチュエーションコメディ。しかも新機軸である純和風のテイスト。老舗料亭の何気ない一日を何気なくなく見事に描きます。これがもう面白い! 多分、一般的にはベテラン男優三人(保、工藤、久保田)の円熟の技に注目が集まると思いますが、私はやはり華やかな女優三人(久野、松浦、古谷)の演技力に感心致しました。そしてストーリーテラーである長橋遼也くんの達者さにも。
こんなご時世ですから是非にとは申せませんが、もし気になっている方がいらっしゃいましたら足をお運び頂けますと幸いです。面白いんだから!
芝居をしたくてもできない私にとって、なんとも羨ましい公演でした。3/15までですよ!



しかしまあ、どうにも景気の悪い話ばかりの昨今。こんな辺境のブログでも哀しい話題ばかりです。いつもの軽薄な語り口も擦れんばかりです。だもんで、気を取り直してちょっとは楽しい話題に取り組んでみましょうか。散歩をしようよ! の巻。こんなカンジです。


どうも〜! 「偽義経冥界歌」休演中につき、ほぼ自宅で充電中の粟根です。さすがに運動不足になってしまうと思って、日々1〜2時間の散歩を楽しむ粟根です。散歩はこんな状況でも奨励されているレジャーの一つですので、嬉々として自宅の周りを散歩する粟根です。

普段からフィールドワークという名の散歩を楽しんでいる私ですが、そんな散歩マイスターの私が、そんなマイスターがあるのかとか思いながらも、名乗ったもん勝ちだとか思いながらも、こんなご時世だからこそ改めて自宅の周りの散歩をオススメします。自宅の周りなんて熟知している気がするじゃないですか。気がしてしまうじゃないですか。なんたって自宅の周りなんですから。
ところがですよ! これだけ散歩しまくっている私でも、まだまだ新たな発見があるのです。あっちゃうんです。

優れた作詞家であり司会者でありエッセイストであり、旅好きでも知られた永六輔さんには「知らない横丁の角を曲がれば、もう旅です」という名言があります。そうなんです。角を曲がれば、もう旅なんです。
試しに自宅から最寄りの駅までの道のりを思い浮かべて下さい。長年の経験から、こういう道順が最短距離だなという最適解が浮かぶと思います。あるいはコンビニに寄る場合にはこのコースだなとか、遠回りだけどなんとなく気持ちの良いお気に入りのコースだなとか、様々な道順が浮かぶと思います。
さて、そのコースには数多くの交差点があると思いますが、その中に一度も曲がったことのない方向がありませんか。あるはずです。無いと思ってもそれは気付いていないだけです。道は無数にあります。あっちゃうんです。
時間に余裕のある時に、曲がったことのない角を曲がってみて下さい。その角を曲がる必然性はありません。だって遠回りになっちゃうから。でも、あえて曲がってみて下さい。そこには見たことの無い景色が広がっています。広がっていますったって、それは単なる街の景色です。普通の景色です。でも、見たこと無いでしょ。どこも同じような街の景色でも、そこに人が住んでいて生活があって日常を送っているんです。それぞれの人々がそれぞれに暮らしている、同じような、でも違った生活。その街角にはそれぞれの個性があるのです。

そうそう、皆さんは「歩く」という行為を単なる移動手段だと思っていませんか? 確かに移動手段ではあるんですが、ここに「注意深く観察する」という手順を加えるだけで、散歩が「フィールドワーク」に進化するのです。
例えば道に面した住宅を見てみて下さい。戸建て、アパート、文化住宅、マンション。様々なタイプの住宅が並んでいます。それぞれの個性を楽しむだけでも随分と楽しめます。やたら門柱が豪華な邸宅、なんだか配管が物凄いアパート、玄関先にむっちゃ花が棚になっている住宅、なんか出窓がギザギザしたマンション。
建築学とか都市景観論とか、難しいコトは置いておいて興味本位でも楽しめる街歩きです。住民のご迷惑にならないように注意して、チラチラジロジロお楽しみ下さいませ。

更にマニアックなフィールドワークのコツをお教えしましょう。家々の個性ではなく、大まかな土地の個性を楽しむんです。そして考えるんです。
この辺りは戸建てが多いのに、こっちの方は古いアパートが多いな。この道は直線なのに、こっちの道はなんだか微妙に曲がっているな。この辺りはちょっと高台だけど、こっちの方はちょっと低いな。なんでだろうな。
そういうコトを楽しめるようになると、あなたはもう散歩マイスターです。勝手に散歩マイスターを増やしてしまいます。定義もよく判らないモノを増やしてしまいます。でも、そういうのが散歩の楽しみなんですよ。
土地には個性があって、なんとなく同じような建物が集まってしまうんです。それが、土地の持つ地霊(ゲニウス・ロキ)です。土地の歴史です。詳しく知りたい方は鈴木博之先生の「東京の地霊(ゲニウス・ロキ)」(ちくま学芸文庫)をお読み下さい。

普通の街並みを、普通に楽しむ。興味を持って眺めてみる。それこそが散歩の楽しみですし、更に心肺能力や足回りの強化にもなります。小難しく言っていますが、要するに散歩は楽しいってハナシですよ。
キチンと対応さえすれば、新しい未知のウイルスだって怖くありません。怖くないハズです。必要以上に恐れずに、でも最大限の予防を行って下さい。そして次の時代を生きていきましょう。それが生活です。普通の生活をしてやろうじゃないですか。

次回は「ゲームをしようよ!」の予定です。書きたいんです。書きたいんですけど書けるかどうか。書くつもりではありますので、どうぞお楽しみに!