2012/07/15

テシタル地上派 030 スリバチカフェ2 その二

さあて、いよいよ本題の「スリバチカフェ2」について話す時が来ましたよ。来ましたよっていうか、私が書くだけなんですけど。書けばいいだけの話なんですけど。なかなか書くのって体力いるよね。ブログで毎日のようにガンガン長文書いてる人ってスゲエなと思います。

私はボチボチと行きますよ。前回書いた前提条件三つ、まず「東京スリバチ学会」という土地のデコボコを楽しむ人々がいるというコト、次に国土地理院が発行 するデータを使って東京のデコボコを立体モデルにした人々がいるというコト、そして「プロジェクション・マッピング」という手法があって立体に動画を映し 出すのが面白いというコト。
この三点を踏まえた上で「スリバチカフェ2」で体験したことをご説明したいと思いますよ。

そもそも2があるってことは1があった、ってコトでして、今年の2月に東京スリバチ学会会長・皆川典久さんが出版した「凹凸を楽しむ東京「スリバチ」地形散歩」(洋泉社刊・2200円)という書籍の出版記念イベントがあったのですよ。それが「スリバチカフェ」。
神保町の南洋堂という建築専門書店にあるギャラリーにて行われたイベントなのですが、例の東京デコボコ立体模型を作ったのがその南洋堂の店主さんらしいで す。この時はプロジェクション・マッピングはなく、その模型「東京の微地形模型」を眺め、エスプレッソを飲みながら色々お話ししましょう、という企画だっ たようです。なるほど、だからスリバチカフェなんですね。



これが何も写されていない状態
 この「東京の微地形模型」という立体が実に面白い。1.5m四方のMDF材という合成木材をコンピュータ制御加工機で削ったもので、かなり精密な仕上がり です。もちろん高さ方向に関してはリアルな縮尺で作るとあまりに微妙な凸凹になるので、おそらく十倍程度に強調されています。
いままで色々な手法で平面による東京凸凹地図を見てきましたが、やはり立体には敵いません。しかも立体地図も色々見てきましたが、このサイズで、しかもこれほど近くで見られる機会もそうそうありません。
ちなみに収録範囲は意外と狭くて、北は日暮里、西は中野、南は品川、東は両国あたりまで。南北は山手線がちょっと欠けるといったカンジです。台地で言えば上野台から高輪台まで。東京の中心部に限られていますが、それがまた精密度を上げています。






地形を濃淡で表現
で、今回の「スリバチカフェ2」ではその模型にプロジェクション・マッピングを施す15分の動画が投影されます。つまり、凸凹模型をスクリーンとして、そこに東京の様々な要素を動画で載せていくワケです。
映し出させるモノは様々です。鉄道・道路などのインフラ、お堀・開渠・暗渠などの水系、緑地帯、江戸の古地図などなど、様々なレイヤーが美しい音楽と共に現れては消えていきます。
そして圧巻なのは海面移動。縄文海進を映し出せば縄文時代にどこまでが海だったのかが判ります。そして、さらに怖ろしいのが淡々と1m単位で海面を上げていく部分。つまり、もしも津波が襲った場合、何mまで海面が上がればどこまで海に沈むかが示されるのです。30mまで上がれば東京はほぼ海面に沈みますし、40mでは遂に新宿が消えました。最後まで粘ったのが甲州街道。半蔵門から四谷を経て新宿に繋がる甲州街道が山の手の内側で最も高い場所だというコトがよく判ります。甲州街道に沿うように玉川上水が引かれていたのは尾根筋、つまり高い場所を選んで引かれていたのですね。
緑地帯

当日は多くの凸凹ファンがひっきりなしに訪れ、立体モデルに見入り、プロジェクション・マッピングに驚き、写真を撮り、エスプレッソを飲み、グッズや書籍を買い、皆川会長らと談笑をしていました。しかも某有名地形系番組のプロデューサーさんも参加して映し出される映像に解説を加えていました。
私も三回しほど映像を見ながら、壁に貼られた終戦直後の東京空撮写真なども楽しみました。本当はもっと長く居たかったのですが、どんどんお客さんがいらっしゃるので交代していかないとスペースがなくなるのですよ。

主要道路


東京人とマニアパレルさんの地図記号手ぬぐいを購入








標高データという無味乾燥なデータを立体モデルに再構成し、そこに本来は平面情報である動画を投射することによって立体化し動きも加えるという有機的な繋がり。それぞれが面白いモノが組み合わさって更に面白くなるという体験でした。

興味はありながらも見逃してしまって残念な思いをしていらっしゃる方に朗報です。神保町・南洋堂さんの4Fギャラリー「N+ GALLERY」さんでは今後暫く毎週土曜日の14:00〜19:00に「続編 東京の微地形模型」展を行うとのことでした。
http://www.nanyodo.co.jp/nplus2/tm_tokyo2_2.html
期間や上映時間などの詳しい情報は会場にお問い合わせ下さい。入場無料です。
そのイベントのプロモビデオがこちらです。


私も初めて南洋堂さんに行きましたが、建築書籍専門でありながらかなり幅広く取り揃えており、東京の凸凹関係の書籍もたくさんありましたよ。私も何冊も買っちゃいました。土曜日に神保町近辺に行く用事がある方はフラッと寄ってみるのもよいのではないでしょうか。


ああ、そうだ! ついに「ZIPANG PUNK〜五右衛門ロックIII」のキャストが発表になりましたね。
http://www.goemon3.com/
今回もイケメン、美女からまったく予想外の大御所まで、多彩で豪華なゲストをお招きしてお送りします。どうなるかは見てのお楽しみ!