2013/11/29

地テシ:050 「ショーシャンク」三劇場と川の関係

さあ、「ショーシャンクの空に」公演もラストスパートを迎えました。全五都市二十四回の公演ですが、残りは二都市六回。名古屋・名鉄ホールと松本・まつもと市民芸術館。おかげさまで好評ですが、客席が若干寂しいことになっています。中部地方にお住まいの方は是非ご来場下さいませ。


さて、前回のネタとして、サンシャイン劇場が建っているのはかつて刑務所があった場所だと書きました。刑務所のあった場所で刑務所の舞台をやる。嘘のような本当の話です。まあ、だからなんだって話でもありますが。

では、と思って、今回回る五会場について調べてみました。そして「今回回る」と書くと「回」という字が続くことにも気付きました。なんかグルグルしてますよね。音楽グループ「口ロロ(くちろろ)」にも繋がる面白さです。いや、回の字はこの回どうでもいいんです。ぐるぐる。

大阪公演が行われた「サンケイブリーゼホール」は株式会社サンケイビルが運営するブリーゼタワーの中にありますが、この土地にはかつて大阪サンケイビルが建っていました。そしてその中には「サンケイホール」が併設されており、色々な出し物が催されておりました。我々劇団☆新感線も一度だけ公演を行ったことがあります。
なお、ブリーゼタワーには産経新聞大阪本社が入っていますが、現在の産経新聞は元々は大阪の日本工業新聞が母体ですよ。いわば大阪が本家です。

福岡公演が行われたのはキャナルシティ博多の中にある「キャナルシティ劇場」ですが、ココにはかつてカネボウプールがあり、さらに前にはカネボウ福岡工場があったそうです。
http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/02number/200401/01kigyo.html
名前の通り、敷地内にはキャナル(運河)が流れていますが、すぐ横には那珂川も流れているし、かの有名な中洲もすぐ側です。要するに川の側ってコトですね。工場と言えば川の側。カネボウの本拠であった墨田区鐘ヶ淵も隅田川と荒川に挟まれた土地です。カネボウって「鐘ヶ淵紡績」の略ですよ。
実際、福岡市中心部はかつてほとんど海だったことが古地図でも証明されています。こちらのサイトが分かり易いのではないでしょうか。
http://y-ta.net/fukuoka-kamakura/
つまり、福岡城址とJR博多駅に挟まれたエリアは中世まで海だったと。現在は福岡市街の中心部にある住吉神社にもこんな古地図の複写がありました。上下逆さまにご覧下さい。クリックで大きくなりますよ。


長浜は細長い浜だから長浜なんですね。いや、それは別の話だ。大阪にも住吉大社がありますが、全国にある住吉神社は住吉三神を祀っており、海や航海の安全を司る神様なのです。「すみよし」とも「すみのえ」とも読みますが、海を祀る神社です。そして、大抵は海沿いに建てられていました。博多の住吉神社も大阪の住吉大社も今では内陸部ですが、かつては海に面して建てられていたのです。


さて、ここで私が問題にしたいのは「劇場と川の関係」です。私の個人的な調査によれば、日本にある劇場の半分は川沿い、もしくはかつて川があった場所沿いに建てられているのです。ちなみに残りの1/4は大名屋敷地の跡である高地に、残りの1/4はそれらと全く関係なく企業の都合で建てられています。こちらはまたいずれ書きたいと思いますが、とにかく劇場は川の側に建てられるコトが多いのです。
かつて、俳優は「河原者」と言われていた時期がありました。河原は無界の場所であり、芸能や商業の場所であった名残から、繁華街は川の側にあることが多く、それが劇場と川の関係になっているという説があります。網野善彦さんや中沢新一さんもその説ですね。だからこそ、人が集まる劇場は川の側に多いのです。

キャナルシティ劇場は先ほど書いたように那珂川の東。そしてサンシャイン劇場は、今は暗渠となっている水窪川の北。水窪川は東急ハンズ裏の美久仁小路を水源に護国寺を回り込んで神田川に注いでいました。
サンケイブリーゼホールは近所の「桜橋」や「出入橋」という地名の通りかつては曽根崎川(蜆川)と呼ばれた淀川の支流北側に建っています。蜆川は新地を突っ切って流れていました。その辺りは昔からの繁華街です。
ほら、三劇場とも川の横でしょ。

さて、残りの二劇場と川との関係が気になるトコロですが、今回はココまで。最後に、ブリーゼタワーの写真を載せておきましょう。




どう、この作り物感。いや、建築ですから作り物なんですけど、なんかCGっぽい。最近の美麗なゲームの建物っぽい。一切加工せずにこの感じなのですよ。あまりに面白いのでちょっと大きく載せちゃいました。甘栗むいちゃいました。