2014/12/27

地テシ:062 2014年の写真 落ち穂拾い その二

えー、来年は「真田十勇士」再演から始まる私ですが、その公演中に舞台のアフタートークもやります。劇団鹿殺し復活公演「ランドスライドワールド」1/20(火)19時の公演後、ちょっとしゃべります。座長の菜月チョビさんがカナダ留学から帰ってきて最初の公演でして、ゲストも木村了くん、今奈良孝行さん、美津乃あわさんという、よく知った人々ですから見に行きたかったんだよね。どうせ見に行くんだったら、ついでにちょっとしゃべりましょうか的なノリで。さてどうなりますやら。


さて、iPhone写真の今年の分からどうでも良い写真を紹介していくコーナー。そんなコーナーだったけ? まあ構わずどんどん紹介していきましょう。

今日は、今年行った各地で思わず撮った、割とどうでも良い写真をお見せしましょうか。なんかね、撮っちゃうのよ。そこに行った記録として撮る物もあるし、妙に気になっちゃって撮るモノもあるし。

中でもどうでも良い写真が、こちらの東急田園都市線用賀駅近辺で見つけたこちらのお店。

 

「鉄板酒場キイハントー」。うん、50歳以上の方なら覚えているのではないでしょうか。「キイハンター」。丹波哲郎さんや千葉真一さんが出演していた大ヒット東映アクションドラマです。それのモジリなんですね。ロゴが同じです。ああ懐かしい。

 キイハンター MUSIC FILE
キイハンター MUSIC FILE


多分、多分なんですが、和歌山料理が出てくるか、マスターが和歌山出身なのでしょう。多分だから、判りませんけど。多分ね。

今年の夏に世田谷文学館で開催された「日本SF展・SFの国」には皆さん行かれましたでしょうか。星新一、小松左京、筒井康隆各氏を中心とした、日本SF界の歴史がよく判る展覧会でした。


ああ、面白かったと世田谷文学館を出たところで思いました。この建物も相当なSF感だなあと。


なんか近未来風の建物だよね、世田谷文学館。


さて、ココからは大阪で見つけたシリーズです。「ラストフラワーズ」の大阪公演の時に久しぶりに阪急電車に乗ったのですが、お馴染みのあの小豆色の車体にラッピングが施されていました。



今年は「宝塚歌劇100周年」だそうで、色々な記念イベントが催されていたようですが、やはり母体の阪急電車、ラッピング車両でお祝いです。乗ったのも宝塚線ですしね。

電車繋がりでもう一つ。「ラストフラワーズ」大阪公演の会場はシアターBRAVA!でして、大阪ビジネスパーク(OBP)というエリアにあります。このエリアに近いJRの駅としては大阪城公園駅と京橋駅があるのですが、実はかつてもう一つ最寄りの駅がありました。「片町駅」といいます。
現在、JR京橋駅からJR木津駅方面へと北東に延びる「学研都市線」という愛称の路線がありまして、大阪北東部や京都南部の重要な通学通勤路線なのですが、この路線の正式名称は実は「片町線」です。そして、片町駅はかつてこの片町線の始発駅でした。
路線名にまでなっているのに、片町駅は土地の関係で小さく狭く、しかも二駅目の京橋駅が環状線や京阪電車との接続があって巨大なため、実に存在感の薄い駅でした。案の定、1997年に京橋ー尼崎間に地下路線であるJR東西線が開通すると廃駅になりました。行ったことはありますが、今思えば駅舎の写真を撮って おけば良かったなあ。  


なので、その廃駅の説明版を撮ってみました。元々は明治28年に浪速鉄道が造った駅。川沿いの狭い土地に造られたのは舟運との兼ね合いだったんですね。

そして大阪繋がりであと二枚。まずは通天閣・新世界辺りで見つけた不思議な自販機。  


なんと「うまい棒」の自販機です。しかも何味が出るか判らないというミステリーぶり。需要先が全く判りません。それもまた新世界っぽいですが。
そして、その新世界辺りから見た「あべのハルカス」。


高さ300mで、現在日本で一番高いビルです。タワーを含めても東京スカイツリー、東京タワーに次いで三番目。新世界に行く途中にそのすぐ下をタクシーで通ったのですが、なんともはや高うございました。まだ登ったことはないのですが、来年こそは登ってみたいものです。

と、年末らしく来年の抱負なども交えまして、今日のところはココまで。どうでもいい写真はまだまだありますよ。

2014/12/24

地テシ:061 2014年の写真 落ち穂拾い その一

先日開催されました「ドナインシタイン博士の禁断カフェ 禁断のトウキョウ」には狭い店内に一杯のお運びでありがとうございました。例によって私の好きなことを目一杯しゃべらせて頂きました。ちょっと詰め込み過ぎちゃったんで、例によって伝わりにくかったと思います。例によってマニアックな話だし。
なので、その一部だけでも近いうちにこちらで補足説明させて頂きたいと思います。まあ、例によっていつになるか判りませんが。


さて、「ドナ禁」のネタ探しにiPhone写真を整理していたのですが、そしたらば今年に入ってのブログ記事が少ないもんだから、ご紹介していない写真が山ほど見つかりました。それらの一部を駆け足でご紹介したいと思います。

長らくケータイを持たなかった私。なので街中で写真を撮るという行為をあまりしてこなかったのですね。もちろんコンパクトカメラやコンデジは持っていましたが、特別な旅行とか仕事の時にしか使わなかったので、要するに日常的にパッと街中で写真を撮るというコトが無かったのですよ。
しかし、2006年頃に初めてケータイを持ちます。W-ZERO3というWillcomのPHSでして、今で言うスマホのハシリみたいな端末です。タッチ機能付きの大型画面がスライドするとqwertyキーボードが出てくるという、今思い出しても中々に未来的な端末でした。
で、この端末にはカメラが付いておりまして、写真を撮るコトもできたのです。いわゆる「写メ」ですね。ケータイですから常時携帯しているワケです。なので、街中で何か面白いモノを見つけた時とか、旅行に行った時に気軽に写真を撮るコトができるようになったってワケですよ。そしてそれらの写真はPCにバックアップできて簡単にブラウズできるって ワケですよ。
ワケですよって偉そうに書いていますが、要するに写メが撮れるようになったよってコトでして、私よりももっと前から皆さんが当たり前にやっていたコトができるようになったよってコトでして、ちっとも威張れるコトではありません。
ですがまあ、私にとってはなんだか画期的な変化だったのです。写真を撮っておけば日記代わりに、いつ頃どこで何をしていたかが判るようになったのです。ああ、これは便利! 写メって便利! 2006年にもなって私はやっとその便利さに気付きました。遅!

その後、iPhoneに機種変更し、W-ZERO3時代からのも合わせて全ての写真が愛用のMacにバックアップされているワケでして、つまり2006年以降の自分の日常が写真日記として保存されているのです。8000枚くらい。8年で8000枚ですから年平均1000枚くらいですかね。充分な写真日記です。
この写真のおかげでブログを書いたり連載記事を書いたりできたのですからありがたいモノです。おかげで街中でなにやら面白げなモノを見つけたら写真を撮ってしまうクセが付きました。街歩きをした時にも資料として撮りまくってしまいます。もちろん皆様にもそういう方は多いのではないでしょうか。特にスマホは画面が大きいから写真も撮り甲斐がありますからね。
ただ、私は食事や人間を撮るのにどうやら抵抗があるようです。ブログ用に食事の写真を撮るとか、人と会った時に記念に写真を撮るとかの発想がないらしくて、大量の写真の中にも食事や人物を撮った物はごく僅かしか有りません。延々と崖とか電車とか道とか看板とか建物とかの写真が並んでいます。説明がなければなんだか判らないような写真ばかり。いや、説明してもよく判らないものばかりだと思いますけど。

そんな写真の中から、今年撮った分からごく一部をご紹介しましょう。まあ、そうですね、どうでも良い写真ばかりの中から中でも特にどうでも良い写真からご紹介いたしましょうか。


私が大好きな京都発祥のラーメンチェーン「天下一品」。異様にドロドロしたスープが有名で、一般的に「天一(てんいち)」と略され親しまれています。そして語呂合わせで10/1が「てんかいっぴんの日」だそうで毎年「天下一品祭り」が催され、10/1にはラーメン無料券がもらえるキャンペーンをやっているのです。毎年長蛇の列ができるので、この日には絶対に行きませんけどね
しかし、10/2から約10日間ほどはプレゼントがもらえるくじ引きがあるのです。こちらは可能ならば毎年参加しております。今年のプレゼントはミニミニどんぶりとコースターとマグネット。マグネット! お店定番の「こってりラーメン」のミニチュアマグネットなのですよ。コレは欲しい!(個人的な感想です)

まあ、毎年ハズレというか、一番安そうな景品(今年で言えばコースターね)ばかり引いている私ですからあまり期待せずに行ったのですが、なんと、一発でマグネットが当たってしまいました!


まあ、貰ったからどうってコトはないのですが、欲しかった景品が当たると嬉しいモノですね。まさにどうでも良い写真です。

さらにどうでも良い写真をお見せしましょう。皆様は「逆氷柱(さかさつらら)」という現象をご存じでしょうか? まあ、文字通り逆さに生えているつららのコトなのですが、実はたまにご家庭の冷凍庫でもできることがあるんですって。
冷凍庫の製氷皿で氷が作られる時に、条件が揃えばごく稀に見られる現象だそうです。詳しくはこちら。
私は毎晩焼酎の水割りを飲みますので毎晩氷を作り足しております。しかし、逆氷柱を一度も見たことがありませんでした。しかし、今年の6月頃、ウチの製氷皿で発見してしまったのですよ!


なんだか嬉しくて何枚も写真を撮ってしまいましたが、だからどうだってコトもないワケでして、こんなコトで幸せになってしまうとは安いもんでしょう。
とかいうネタを書いていた先日、またしても、今度は特大の逆氷柱ができましたよ。


またしても嬉しくて天一こってりマグネットに載せて撮ってしまいました。


うーん、まさしくどうでも良い話でしたね。すみません。
しかしまだまだどうでも良い写真がありますので、年内にはまとめたいと思いますよ。今年のことは今年のウチに!

2014/11/28

地テシ:060 2014後半のお仕事

ああ、またまたずいぶんと間が開いてしましましたね、テシタル地上派。皆さん、お久しぶりです、粟根まことです。「ラストフラワーズ」の大阪公演直前にアップしたのが9/2。約三ヶ月前です。
だってあれから大阪公演があったし、そのすぐ後には「つんざき行路、されるがまま」の稽古をしていたし。皆さんにはお判り頂けないかと思われますが、実は「ラストフラワーズ」は精神的に追い詰められていた公演でしたし、「つんざき〜」に至っては精神的にも肉体的にも追い詰められていた状態でして、なんかブログとか書いている気持ちでは無かったのです。気を逸らせられないというか、雑念を入れられないというか、なんかそんな気分。なんかそんな精神状態だったのですよ。いやまあ、適当に雑念は入れてますけど。とりあえず、ブログは書く気分にはならなかったってコトで。

そんな日々も終わり、今は割と安定した日々を送っています。お芝居を見に行ったり、映画を見たり。充電期間というとちょっとカッコイイですが、要するにダラダラと日々を送っています。そんな日々が欲しかったのよ。やっと手に入れたよ。まあ、ダラダラしているだけですが。お芝居見たりBlu-ray Disc見たりテレビ見たり東京散策したり音楽聞いたり、そんな日々。

以前に習って2014年後半の仕事をまとめてみましょうか。
まずはいつもの連載記事です。
演劇ぶっくの「人物ウォッチング」(奇数月上旬発売)
http://www.enbu.co.jp/kick/
この半年でご紹介したのは武田浩二さん、皆川猿時さん、星野源さんでした。
同じく演劇ぶっくのWeb「日刊☆えんぶ」での「未確認ヒコー舞台:UFB」(毎月第一木曜日更新)
http://blog.livedoor.jp/nikkann-awane/
色んな演劇用語をご紹介しております。

舞台ではもちろん大人の新感線「ラストフラワーズ」と月影番外地「つんざき行路、されるがまま」の二本に出演しました。
12月は来年上演される「真田十勇士」再演の稽古ですが、12/8には川下大洋さんとのカフェトークイベントであるドナインシタイン博士の禁断カフェ「禁断のトウキョウ」にゲスト出演します。もうチケットは無いらしいんですけど。

こうしてみると意外と仕事していないなあ。いや、演劇の稽古と本番はエネルギーを使うのです。結構忙しいのよ。

後は買ったモノと買わなかったモノのご紹介。
ええと、Xbox Oneは買いました。「ラストフラワーズ」の大阪公演中だったので、もちろん大阪に届けてもらえるように予約してね。
それと、iPhone6はまだ買っていません。こちらも「ラストフラワーズ」大阪公演中だったし、色々調べてからでないとね。まずは6にするのか6Plusにするのかを決めてからでないとさ。


まあ、そんなカンジの2014後半。ていうか11月後半。ドナ禁のトークイベントの取材で精力的にトウキョウを歩き回ったりもしています。ああ、やっぱり楽しいですね、街歩きって。
最後に冬場の街歩きに関する注意点を。冬場は寒くてトイレが近くなるから、街歩きの途中でトイレを見つけたら必ず入っておくコト。意外と少ないよ公衆トイレって。狙い目は公園と駅ね。

2014/09/02

地テシ:059 新しいお友達は15インチの巻

ええと、気がついたら大人の新感線「ラストフラワーズ」の東京公演も無事に終わり、間もなく大阪公演が始まりますよ。もう九月ですよ。なんか秋の足音が聞こえる季節になりましたよ。長らくのご無沙汰です。

稽古終盤や本番中はブログの更新は滞りがちなのですが、それはもう考えるコトもやるコトも一杯ありましてなんだか書きそびれちゃうんですが、今回はそれどころでは無い事態が起こっていたのでした。
といいますのも、私がメインで使っているMacの調子が悪くなったのさ! 最終的には、まあ「壊れた」に近い状態までいっちゃったのさ! そりゃブログ書いている場合じゃないさ!

前回、私のメインマシンであるMacBook Proを買い換えたのが2012年6月。あれは「シレンとラギ」本番中でした。本番中っていっても本番期間中というコトではなく、まさに本番中。出番の合間にネットショッピングで買ったのです。なんだかバタバタしながら買ったのです。そのコトについては以前に書きましたね。
http://awanemacoto.blogspot.jp/2012/06/wwdc-2012.html
ホントにバタバタしてるなあ。

あれから二年。ちょっと早いですが、なにやら挙動がおかしくなってきました。どうやらGPU(グラフィックボード=画面を制御するパーツ)がおかしいようで、画面表示がおかしくなった後にフリーズします。稽古が始まった頃から少しずつおかしくなり始めて、まあなんとかなだめながら使っていたのですが、日々どんどんおかしな挙動が増えていくのです。こいつは困った。

色々とメンテナンスソフトを走らせて検証し修復し、しばらくは調子が良いのにまたおかしくなる。どうやらOSやソフトの問題ではなく、ハードウェアに問題がありそうだと気がつきました。そうこうするうちに一日に何度も再起動をかけ、しかも中々復旧しない状態になりました。これでは時間の無駄です。となれば買い換えを考えなくてはならないでしょう。うん、メインマシンだし、買い換えましょう。そうしましょう。

PCを買い換える時やOSを入れ換える時の面倒くささは今までにも何度も書きましたよね(「貧弱ユビキタス」の連載も含む)。そして一度でもマシンやOSの入れ替えを体験なさった方なら身をもってご存じだと思います。ああ面倒くさい。いや、面倒くさがっていても始まりません。どうせ何時かはやるんです。やりましょう買いましょう。

まあ、そんなワケで現行の最新機種、そして最大画面である15インチモデルを買い、SSD(回転ディスクの無い記憶装置。今までのHDDに当たる)の容量が少ないから色々消したり外付けのHDDに移動したり、古いマシンから(挙動が不安定だから色々苦労しながら)データを移行し、やっぱり画面が小さくて不満だから外付けの大型ディスプレイも買い、それ用の「Thunderbolt-MiniDVI」ケーブルも買い、他にもなんだかんだ買いまして、とんだ散財をした上に、稽古で忙しい中データ移行に伴う例の面倒くさい作業もしまして、なんとか快適な環境にしたら、もう初日は目前。ああ、バタバタした。

そんなワケで、バタバタした日常を送っていたらブログの更新のことをすっかり忘れていたというワケさ。ごめんね。
しかも、私がMacBook Pro 15"を買った数日後に値段が改定されて二万円も安くなったり、9/9に開催予定のapple新製品発表会で新しいMacBookが発表されるかもしれないという、なんだか悲しい状況ではありますが、そこは私が信条としている言葉「買いたくなった時が買い時」ということで後悔はしていません。
もちろん今回の大阪の旅にも新しいお友達・MacBook Pro 15"を連れてきていますよ! これで大阪のホテル暮らしも快適さ! さすがは高精細のretinaディスプレイ! 画面はむっちゃキレイですよ!

ただ一つだけ問題があるとすれば、やっぱり画面小せえ! 普段は28インチの外付けディスプレイ使ってるから、当然ながら15インチは小せえ! ていうか、文字小せえ! まあ無理矢理広く使おうとしているから解像度を高くし過ぎて、結果的に文字が小さいだけなんですがね。しょうがないか。でも画面がキレイなのはホント。だから満足はしていますよ。


さあ、そんなこんなで大阪ですよ。大阪公演ですよ。東京ではおおむね好評を頂いた「ラストフラワーズ」。両劇団のいいとこ取りと思うか、どっちつかずと思うか。それは見る人次第です。ですが、とりあえず我々は楽しくやっておりますよ。
一言だけ付け加えるとすれば「星野源グレイト!」ってコトでしょうか。ホント凄いから! どうぞお楽しみに!

2014/06/30

地テシ:058 「ゲームウォーズ」の巻 後編

最近、スマートウォッチ関係の情報が沢山出てきましたねえ。気にはなるのですが、私は腕時計などの腕に巻くなにやらが嫌いですので、ココはスルーですかね。いや、スマートウォッチ自体には物凄く興味があるし、あれば便利なんだろうなとは思うのですが、どうもね、手首に巻くってのがねえ。いや、ひょっとしたらヒョロッと買っているかもしれませんけどね。


ゲームウォーズ(下) (SB文庫)
ゲームウォーズ(下) (SB文庫)

さて、前回の続き。アーネスト・クラインの「ゲームウォーズ」(SB文庫)が面白かったという話ですが、まずはあらすじからご紹介いたしましょうか。

舞台は近未来である2040年からの数年。深刻なエネルギー不足に悩まされるその時代では、世界中の人々がOASISというネットワーク型バーチャルリアリティを日常的に使用していた。貧富の差の激しい現実世界から逃避するように、全世界の人々が当然のようにOASISのネットにログインする生活だった。
そんなある日、OASISの開発者であり、それを管理する会社社長であるジェームズ・ハリデーが死去する。そしてその遺言は、OASISのどこかに隠されたイースター・エッグ(隠しメッセージ)を見つけた者に全財産とOASIS経営権を譲渡するというものだった。

と始まるのがこの小説。主人公は当然のようにこの謎に挑み、幾人かの仲間を得ながら最後の謎に迫る。もちろんそれを邪魔しようとする敵対企業が現れ、あの手この手で邪魔をしてくるという、王道と言えば王道のストーリー。いかにもすぎる展開で、それが故にB級な空気を醸し出すのですが、それが故に面白いのですよ。既に映画化が決まっているそうですが、多分面白くなると思いますよ、B級的に。
かの名作「スター・ウォーズ」第一作(EP4)も公開当時はB級呼ばわりされましたし、結局大衆が求めているのはB級名作なのだし、まったく個人的にはB級大作が大好きだし、正直A級B級とかよく判らないのですが、とにかく面白ければいいじゃんという信念で生きてきた私にとって、この「ゲームウォーズ」は相当ヒットしたワケですよ!

その大金を残したOASIS開発者ジェームズ・ハリデーは1972年生まれ。少年時代を過ごした80年代に相当な思い入れがあるらしく、謎を解くヒントがことごとく80年代のギークカルチャーなんです。ええと、geekって判りますでしょうか? 日本語で言えば「オタク」に近いのですが、ちょっと違いますかねえ。あるいは、ナード(nerd)でも構いません。ギークもナードも、まあ大雑把に言ってオタクっぽい人のことです。詳しくはこちらを。
http://wired.jp/2009/07/28/英語の「オタク」:ギークとナードの違いは?/
http://gigazine.net/news/20120105-geek-vs-nerd/
http://www.gizmodo.jp/2013/07/post_12664.html
ここでいうギークカルチャーというのは、80年代以降に流行したPCゲーム、ビデオゲーム、ゲームブック、テーブルトークRPG、SF映画、SF小説、ファンタジー、コミックス、アニメ、特撮、ホームコメディ、ロック、パンク、プログレ、etc...etc...
とにかく、80年代にティーンエイジャーだったギークたちみんなが夢中になったポップカルチャーがてんこ盛りなのです。そして、私は1964年生まれ。ハリデーよりも8年ほど年長ですが、大して変わりはありません。私も80年代にティーンエイジャーだったし、ギークカルチャーにどっぷりだったし、同じような青春時代を過ごしました。だから妙にノスタルジックなシンパシーを感じてしまうのかもしれません。要するに、この小説は大変ターゲットが狭いんです。何のことを言っているのかピンとこない描写も多いかと思われます。

しかし、だからこそ私個人にはヒットしたのでしょう。40代以上のギークやナードたちにはピンポイントでヒットするでしょう。それ以外の方々でも、ある程度サブカルチャーやオンラインゲームの知識があれば面白いと思います。とりあえず、主人公たちが何故あれほど謎解きに夢中になれるのかだけでもご理解頂ければ、細かいギーク的な小ネタは流しても大丈夫かもしれません。あくまでディティールです。ただ、私はそのディティールに盛り上がっちゃったんですけどね。

謎解きと言ってもいわゆるミステリーの手法ではありません。だって細かいヒントがあらかじめ読者に提示されているワケではないから。主人公がなんとかヒントに気付いて解いていくのを楽しむ、いわゆる冒険小説に近いかもしれません。「インディ・ジョーンズ」シリーズみたいな感じ。結構波瀾万丈な冒険をしますよ。バーチャル世界だけでなく、リアル世界でも冒険しますから。バーチャルとリアルの冒険が交錯していくアタリが、ニール・スティーブンスンの「スノウ・クラッシュ」とか、映画の「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」とか「エンジェル・ウォーズ」に似ているかもしれません。どれも私の大好きな作品です。
主人公は少年なので、ある意味ジュヴナイル風の成長譚でもあり、クールジャパン方面のニッポンネタも満載であり、ラブロマンスもあります。邦題は「ゲームウォーズ」ですが、原題は「READY PLAYER ONE」でして、こちらの方が私にはしっくりくるタイトルです。

あまり書いちゃうと面白みが減っちゃうかもしれませんので、このくらいにしましょうか。まあとにかく、ご自分にギークあるいはナードな属性があるのかも、と自覚のある方なら楽しめることウケアイです。もし本当に映画になって日本で公開されたら、それを見に行くというのも良いでしょう。
ただ、かなりピンポイントだということだけご注意下さい。ワケがわからなくて終わる可能性も大いにありますから。その辺は自己責任でよろしくです。


さて、そうしてまたしてもSF熱が上がっている私は、またしてもオーソン・スコット・カードの「エンダーのゲーム」の新訳版を読んでいるところです。何故かというのはまた次回で。またSF話ですよ! またかよ!