2016/03/25

地テシ:080 KUTO-10「骨から星へ」

気がついたらもう三月。気がついたらもう「乱鶯」の東京公演が始まっていて、気がついたらもう「乱鶯」東京公演も残り少なくなってきています。って気がつくの遅いな、俺。ええと、月日が経つのは速いものです。
「乱鶯」は「いのうえ歌舞伎《黒》」というコトでいつもとちょっと違う新感線でして、ネットでの評判をチラッと見たりすると「いつもとちょっと違って新鮮だ」という意見があったり「いつもとちょっと違って物足りない」という意見があったり、まあ要するに賛否両論ではありますが、やっている我々はとても楽しいのです。
古田くんがセンターで、劇団員もほぼ総出演となるいのうえ歌舞伎はおそらく当分は見られないと思います。残りのステージも少なくなってきております。気になっている方は、是非!

そんな公演中の私ではありますが、チラシを作らせて頂いた工藤俊作プロデュース プロジェクトKUTO-10「骨から星へ」を見に行って参りました。
この舞台、久保田浩さんと座長である工藤俊作さんが90分間ほぼ出突っ張りなのね。二人とも私より一つ年下の五十歳。劇中にも年齢に関する言及があり、ああ、彼らももう五十歳かぁとか思いましてね。二人ともかれこれ三十年くらいのつきあいで若い頃から知っているんですが、この二人の佇まいが実に良いんですよ。

そういえば、こんな素敵な大人たちも、かつて若い頃は二人とも「狂気の俳優」と呼ばれていたことを思い出しました。
トシさん(工藤さん)は舞台上のみならず私生活でも奇声を発する怪人でして、盟友である古田くんやじゅんさんからも恐れられていたほどです。
クボッティ(久保田さん)は当たり役である「羽曳野の伊藤」を初めとした「冷静な情緒不安定者」に定評があり、私生活でもどうにもおかしな人でした。

そんな狂気の俳優二人が、実に味のある大人になっていて、なんとも感慨深い気分になった公演でした。特にクボッティの巧さには改めて驚かされました。二人ともなんだか良い歳の取り方をしているなあって。

ちょっと大人な「いのうえ歌舞伎《黒》」を上演している我々としても、まあ歳を取るのも悪いコトじゃないんだなあとか思いながら見ていましたよ。そして、懐かしい関西出身の演劇人たち(先輩とか同輩とか後輩とか)ともたくさん会えて嬉しい一日でした。

「骨から星へ」は、京王井の頭線 駒場東大前駅から徒歩三分、こまばアゴラ劇場にて3/27まで。宣伝美術を担当させて頂いた縁もあって、ちょっと宣伝させて頂きました。チケットはまだまだあるそうですので、どうぞよろしくお願いいたします。

2016/01/06

地テシ:079 2016年と中島清之展

新年明けましておめでとうございます。2016年! 今年もよろしくお願いいたします。今年の一発目は2016年劇団☆新感線春興行 いのうえ歌舞伎《黒》BLACK「乱鶯」ですが、秋公演として宮藤官九郎さんが書くと発表されちゃいましたので、春と秋は新感線でよろしくお願いいたします!


毎年、可能ならばゲームしながらの年越しを心がけておりまして、没頭している内に気がついたら年を越していたというのが理想です。今年も「Fallout 4」を夢中でプレイしている内に気がついたら年を越していました。幸先の良い新年です。
以前にも書きましたREGZAを買ってからタイムシフト視聴が基本になっている私ですので、年末年始の特番もタイムシフトで観ています。今のところやっと年末特番を消化して、やっと新春特番に入りました。もう世間は新年気分は抜け始めているのに、私だけまだ新春気分です。

そんな新春気分の私ですが、新春早々、急に思い立って美術展に行ってきました。ネットで見つけて妙に気になった「横浜発 おもしろい画家:中島清之ー日本画の迷宮」(横浜美術館)です。
















あんまり日本画は見ないのですが、ちょっとコレは気になっちゃたのよ。なにやら面白そう!

というワケで新年から横浜に行ってきちゃいました。

中島清之とかいて「なかじまきよし」と読むらしいのですが、大正から昭和に掛けての日本画の大家でして、東京芸大の講師として教鞭を執ったこともある重鎮です。重鎮らしいのですが、この展覧会のタイトルである「おもしろい画家」というのが気になっちゃったんですね。

気になって行ってみたのが正解でした。確かに面白い。何て言うか、作風が固定していないんだよね。日本画をベースとしながら、洋画とか抽象画とかアンフォルメルとか、色んなムーブメントを採り入れて、どんどん作風が変わっていくんですよ。しかも、一枚の作品の中にそれが混ざっちゃう。
日本画の特徴である、輪郭線を描いちゃうとか遠近法を使わないとか暈かしを使うとか、そういう手法と洋画の手法を混ぜちゃう。物凄く精密に描いてある部分があるかと思いきや、物凄くデフォルメされた部分が一枚の中にあったりします。
着物の柄や生物の皮膚模様を精密に描くのに背景がモヤッとしてるんだとか、一度描いた精密な背景を塗りつぶしちゃうんだとか、そこに金箔貼っちゃうんだとか、輪郭をピンクで描いちゃうんだとか、その角度とこの角度が混在しちゃうんだとか、コレはもうキュビズムなんじゃないかとか、アクリル画みたいに塗りつぶしちゃうんだとか、そこしか描かないんだとか、漫画みたいな表現するんだとか、なんだかもう何でもアリな作風なんですよ。

初期のいかにも日本画な作品も良いのですが、後期の大判の作品、例えば一面に笹の葉を描いた「緑扇」なんかは細密な日本画とミニマル・アートが融合したような作風で見応えがあります。
他にも見所が多くて、実に刺激的な展覧会でした。1/11には終わっちゃうから、もしお時間がございましたら是非。

そして、ついでのようですが、同時に開催している「横浜美術館コレクション展」の「大正・昭和の横浜から」には多くの美しい陶器が展示されているのですが、その中の宮川香山による「記念杯(一対)」という杯がむっちゃ可愛い! 杯を白兎と茶兎(だか鹿だか狸だか)に見立てた作品なのですが、コレを紹介したくてネットを探しまくっても写真がどこにもないんですよ。こんなにカワイイのに! なので、是非とも実物を見て頂きたいのですよ。

よろしければ、新年には横浜に行ってみてくださいませ。じゃ、今年もよろしくです〜!

2015/12/31

地テシ:078 2015年ももう終わり

えー、年末ですね。大晦日ですね。ネルケプランニング「夜の姉妹」にはいっぱいのお運びありがとうございました。無事に大阪公演も終わりまして、私もおばさんおばさんと言われながら終わりました。懐かしの近鉄アート館は実に楽しかったですよ!


そんな2015年ももう終わり。なので今年の仕事でもまとめておきましょうか。

まずは冬に「真田十勇士」TBS版の再演で幕を上げ、春から秋までずーっと「五右衛門vs轟天」! 怒濤の80ステージ! 秋からはちょっと規模を小さくして「芸祭」と「新感線MMF」と朗読劇「ポポイ」と「夜の姉妹」の四連発。

舞台ではこんな感じ。今年は映像の仕事がなかったのね(取材を除く)。あ、あったわ。来年公開のある映画にホンの一瞬だけ出ています。出来上がったら出てないかもしれないけど。

レギュラーの仕事としては、毎度お馴染み演劇ぶっくの「人物ウォッチング」が隔月連載、日刊☆えんぶの「未確認ヒコー舞台:UFB」が毎月連載(http://blog.livedoor.jp/nikkann-awane/)です。
他にも「大☆新感線博」にて配布された復刻版会報「めぐり」を作ったり、プロジェクトKUTO-10さんの「骨から星へ」のチラシを作らせて頂いたり(http://plaza.rakuten.co.jp/kuto10/)。

こんな感じでしょうか。忘れてない? 何か大事な仕事忘れてない?

ちなみに今年観た舞台は47本。例年よりちょっと少なめです。


来年は2016年劇団☆新感線春興行 いのうえ歌舞伎《黒》BLACK「乱鶯」から始まります。ていうか、その稽古から始まります。
2016年もよろしくお願いいたします! では良いお年を! さあ年越しで「Fallout 4」やるぞ!

2015/12/25

「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」のおはなし

ネルケプランニング「夜の姉妹」大阪公演も始まりまして、ちょっと狭い劇場で、東京よりもグッと濃密な空間で、グッと濃密な演劇が出来ているような気がします。やっぱり演劇専用の劇場というのは有り難いですね。しかも久しぶりの劇場だし。昔のまんまの劇場でお待ちしております。

そんな「夜の姉妹」の話もそこそこに、今日はやっと見た「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の話をしたいんですよ。できる限りネタバレはしないようにしますが、ちょっとは出ちゃうかもしれないから気をつけて下さい。


















まあ、一言で言うと「楽しかったです」という小学生みたいな感想しか出ないんですけど。どうやら賛否両論いろいろな感想が出ているようですからいまさら私がなにやら言っても仕方がないとは思いますが、まあ見た感想は人それぞれ。それは映画だけでなく我々の演劇作品についても同様のことが言えると思います。作品は観た人のモノ!
観た時の気分とか時代とか天気とか、まあ色々な要素で感想というのは変わるモノでして、それはそれは純粋にパーソナルなモノになるんですよ、感想ってのは。だからこそ、第一作(EP4)から映画館で観ている私個人としての感想は「楽しかった」だという話ですね。

ストーリーに関しては、ちょっとでも話しちゃうと先入観が入っちゃうから言えませんが、旧三部作(EP4〜6)が好きな人なら楽しめるんじゃないでしょうか。オマージュというかリスペクトが過ぎるのは新監督J・J・エイブラムスの名刺代わりの挨拶だと思いますが、今後の展開であっさりと裏切ってくれても、あくまでリスペクトを続けてくれても、どっちにしても私は構いません。好きなように料理すれば良いと思います。それこそ観客は好き勝手言うものですから。

なんだかツッコミどころの多い作品ではあるとは思いますが、まあいいじゃん、楽しかったんだから! ええと、個人的にはア○○○提督が再登場したのが嬉しかったんですけど。ていうか生きていたんだ魚顔提督! あ、ネタバレだ。

今後のシリーズも楽しみですね。どう転がっていくのやら!

2015/12/23

地テシ:077 「夜の姉妹」大阪公演が開幕します

ネルケプランニング「夜の姉妹」も東京公演はおおむね評判も良く、無事に終えることが出来ました。次は大阪公演ですよ。

大阪公演の舞台は懐かしの近鉄アート館。かつては新感線や劇団MOTHERの公演で何度もお世話になった劇場ですが、しばらくの休館を経て復活いたしました。
昨年の「一郎ちゃんがいく。」の大阪公演の会場ではありますが、私は東京公演だけの参加でしたので近鉄アート館には行っていないのですよ。
その時のキャスト陣からも、他の演劇人からも、昔の近鉄アート館を知っている人々からは「まったく変わってないよ」という報告を頂いていたのですが、実際に来てみたらホントに変わっていませんでした。まんまの復活です。

休館前に最後に出たのは何だろうと考えてみたのですが、覚えている範囲では2000年の「ALL AROUND MOTHER」だったような気がします。だとすれば15年ぶりですよ。かつては舞台上での出演はもちろん、音響や照明のスタッフとして何度もお世話になった劇場ですが、実に久しぶりの近鉄アート館です。

今ではあべのハルカスの中に取り込まれちゃっておりまして、近鉄百貨店本店ウイング館の八階にあります。昔のアート館をご存じの方なら昔の通りに、ご存じない方でもハルカスの八階にあるんだとだけ覚えて頂ければ辿り着けると思います。
もうなにもかも昔のまんま、床のシミまで昔のまんまでお待ちしておりますので、どうぞご来場下さいませ。

そしてこちらがあべのハルカスの勇姿。現段階で日本一の高さですよ!