2015/04/18

ウィンズロウ・ボーイ

えー、「五右衛門VS 轟天」の稽古、始まっていますよ。久しぶりのバカ芝居。やっている方も楽しく稽古しております。さて、どうなりますやら。お楽しみに。

そして、そんな稽古中にも色んな劇場で色んな舞台が行われているワケでして、合間を縫っては観劇に行く日々です。なかなかままなりませんけど。
で、その中から先日拝見したオススメの舞台をご紹介したいのです。いや、まあ騙されたと思って聞いて下さいな。

それは現在、新国立劇場で上演中の「ウィンズロウ・ボーイ」。
http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/150401_003732.html
新国立劇場小劇場で上演される翻訳劇、と聞けば、やはり小難しい重たい作品なんじゃないかと思うでしょ? いや、それは私だけかもしれないし、しかも小難しくて重たい作品でも凄く面白い作品もあるのも事実なんですが、まあ印象としてそんな傾向があるかもしれません。
なんかほら「国立」って付くだけで何となく高尚な感じがするじゃない。確かに、新国立劇場で上演されている作品は質が高いのは本当ですよ。凄くちゃんとしてます。ハズレはありません。何本も見た私が保証します。ただ、やっぱり明るく楽しい作品が好きな私としては、ちょっと敷居が高いのも事実なんです。

この「ウィンズロウ・ボーイ」も、正直ちょっと敷居が高かったのです。もう一度書きますけど「新国立劇場小劇場で上演される翻訳劇」。しかも60年くらい前の作品。良い作品なのは確かですが、楽しめるのかなあ。ちょっと及び腰で観劇したのですが、これがまあ面白かった!

見事な脚本に、的確な演出に、面白い役者。 確かにテーマは重くはあるのですが、軽やかに鮮やかに演じられます。その点では昨年の「THE BIG FELLAH ビッグ・フェラー」に似ているかもしれません。
無実の罪で海軍兵学校を放校させられた少年の家族が、汚名を晴らすために軍と国に対して裁判を起こす物語。裁判劇ではありますが、しかし、舞台はその20世紀初頭のイギリス中流家庭のリビングに固定されています。裁判劇であり、家庭劇でもあり、会話劇であり、喜劇でもあり。おそらく、やりようによってはひたすら真面目に堅苦しく、あるいは謎解きのサスペンスとしても上演できるのでしょうが、今回は鈴木裕美さんの軽やかな演出によって楽しく見られるのです。楽しそうに演じる演者も魅力的です。

東京公演だけで、しかも来週4/26までの上演ですのでなかなか見られないかもしれませんが、もしお時間がありましたら是非。ていうか、こういう作品こそがちゃんと宣伝されてちゃんと話題になって欲しいなあというのが演劇人としての正直な感想ではあります。