六月上旬はデジタル関係の新発表が多くて追いきれないほどでしたね。無理矢理まとめますと、Xbox Oneが11月発売! PS4はまさかの菱形筐体! 新しいMacProはまさかの黒い円筒形! 新しいMac OSXであるMavericks発表! 新しいiOSであるiOS7発表! 新MacBook Airにはhaswell搭載! といった感じです。総合的に今年の秋から冬には色々変化があるってコトでしょうか。秋が待ち遠しい! とか思いますが、私は舞台が忙しすぎて待ち遠し感すら味わう暇もなさそうですよ。なお、なぜ今更六月上旬の話を書いているのかと申しますと、今号のネタはずーっと書きかけの記事だったってコトですね。
さて、最近地図ネタっぽいのが続いていますが大丈夫ですか? ていうか、このBlogは大体そんな内容ですから大丈夫でしょうが。そして、今回もそんな内容です。
私の興味は「何故そこに道がひかれているのか、何故そこに線路が敷かれているのか、何故そこに駅があるのか」という、交通と地勢学との関係性にあるという話は以前にも書きました。そして、ここ最近にそれらについて解説していてくれる面白い本が立て続きに出版されていたのです。
なので、今回はそれらを紹介しつつ、関東における交通と地形との関係を少々解説したいと思います。
中央線がなかったら 見えてくる東京の古層
まずは「中央線がなかったら 見えてくる東京の古層」(陣内秀信・三浦展 編著/NTT出版)。これはもう、タイトルからして私の興味にドンピシャな本です。要するに、鉄道がなかった頃の東京の西郊はこのように発展していたんだよ、という話です。
古代から近世までの三多摩地区には律令官道、鎌倉街道、江戸街道などが敷かれており、消えてしまった道も多いのですが、中には現在にも生活道路として生きているケースも多いのです。そして、鉄道も街道に沿って作られたモノが多い。京王線は甲州街道にほぼ沿っているし、地下鉄丸ノ内線(と昔の都電)は青梅街道に沿っています。つまり昔からの町を縫うようにして走っています。
しかし、中央線は地形も町も関係なく真っ直ぐに武蔵野台地を東西に通っています。用地買収をしやすくするためにワザと何もないところを通したのですね。そしていくつか駅ができ、そこに町ができる。するとそれらを繋ぐ道もできる。
つまり、中央線ができたことによって武蔵野の町も道も一新され、それによって生活も変化していったのです。それらの町と道、そして中央線を消してみると、七世紀から十九世紀の長きにわたる武蔵野の人々の生活が見えてくるというワケです。
特に陣内さん、三浦さんによる巻頭対談が素晴らしい。概論として、この本に書かれていることが総括されています。その後は中野・高円寺・阿佐ヶ谷などの各論が述べられ、実際に古街道を歩きながら検証していてとても面白いのですが、あまり興味のない方には判りにくいかもしれません。
新宿学
次は「新宿学」(戸沼幸市編著、青柳幸人・髙橋和雄・松本泰生著/紀伊國屋書店)。何やら難しそうなタイトルですが、確かに専門的で少々堅めの文章です。しかし、新宿の地勢学から江戸時代の内藤新宿、近代の新宿駅の発展を丁寧に解説しながら、その歴史と未来図を探求しています。元々は早稲田大学オープンカレッジの講義をベースとしたものらしく、学術的にも確かな内容です。
とにかく、コレを読めば新宿の、特に新宿駅近辺の歴史が全て判るというシロモノですよ。一日350万人が乗降するという、世界最大のターミナル駅の発展の過程が詰まっています。
そもそも現在の新宿エリアは、中世までは特に大きな町ではなかったようです。しかし、江戸時代に甲州街道と青梅街道、そしてその分岐点である新宿追分ができて人馬の往来が激しくなり、さらに江戸初期に「内藤新宿」と呼ばれる新しい宿場町ができると一気に町が大きくなります。
そして明治十八年に現在で言うところの山手線新宿駅ができますが、町外れにできたためにほとんど利用者がなかったってのも面白い話です。今では考えられないでしょ。
その後、中央線、都電、京王線、小田急線、地下鉄丸ノ内線・新宿線・大江戸線と、乗り入れる鉄道が増えるたびにターミナルが巨大化し、現在のようなモンスターターミナルとなったのです。まさに鉄道が町を作ったのです。
迷い迷って渋谷駅 日本一の「迷宮ターミナル」の謎を解く
最後に「迷い迷って渋谷 日本一の「迷宮ターミナル」の謎を解く」(田村圭介著/光文社)。タイトル通り迷宮のような渋谷駅が何故できたのかが時代を追って丁寧に解説されています。もちろん鉄道駅ができる前の古代から近世に至るまでの渋谷についても語られています。
ええと、たしかそんな内容でした。いや、この稿を書くに当たって読み返そうと思ったのに見当たらないのですよ。多分家のどこかにはあるのだと思いますが、何しろとっちらかっているモノでして。多分大掃除をしたら出てきます。なので、本書の内容と言うよりは、著者と田村研について書いてみたいと思います。
昭和女子大准教授である著者は、ゼミである田村研究室のメンバー・学生と共に渋谷のグランドデザインを研究し、その成果を書籍だけでなく、渋谷各所にて催されるイベントなどでも披露しています。
今年の春に観たのは、ヒカリエの4階に展示されていた田村研による「ダンボール製の渋谷」でした。5m×5mほどのダンボール製の地面。しかも、ちゃんと素の地面の起伏も再現されています。その上にダンボール箱を積み重ねた渋谷のビル群が建ち並びます。
ただし、あくまで簡易な概念図ですので、リアルに再現されているワケではなく、イメージとしてのジオラマでしたけど。しかし、ミニチュアというには大きすぎる、迫力のあるディオラマでした。
以上、三冊の、今年になってから刊行された「東京西部における土地と鉄道駅との関係性」を丁寧に描いた書籍でした。もうね、この手の本は最近どんどん刊行されていますから、その中から個人的に面白い本を見つけ出して読むのが大変なんです。いや、嬉しいんですけどね。
さあ、そんな感じの六月。現在「ママと僕たち」上演中です。
http://www.nelke.co.jp/stage/mamaboku/
それと、「仮面ライダー ウィザード」出演中です。
http://www.tv-asahi.co.jp/wizard/
来週6/30にも出ていますからお見逃しなく!
じゃ、日曜朝八時に、テレビ朝日で僕と握手!
さて、最近地図ネタっぽいのが続いていますが大丈夫ですか? ていうか、このBlogは大体そんな内容ですから大丈夫でしょうが。そして、今回もそんな内容です。
私の興味は「何故そこに道がひかれているのか、何故そこに線路が敷かれているのか、何故そこに駅があるのか」という、交通と地勢学との関係性にあるという話は以前にも書きました。そして、ここ最近にそれらについて解説していてくれる面白い本が立て続きに出版されていたのです。
なので、今回はそれらを紹介しつつ、関東における交通と地形との関係を少々解説したいと思います。
中央線がなかったら 見えてくる東京の古層
まずは「中央線がなかったら 見えてくる東京の古層」(陣内秀信・三浦展 編著/NTT出版)。これはもう、タイトルからして私の興味にドンピシャな本です。要するに、鉄道がなかった頃の東京の西郊はこのように発展していたんだよ、という話です。
古代から近世までの三多摩地区には律令官道、鎌倉街道、江戸街道などが敷かれており、消えてしまった道も多いのですが、中には現在にも生活道路として生きているケースも多いのです。そして、鉄道も街道に沿って作られたモノが多い。京王線は甲州街道にほぼ沿っているし、地下鉄丸ノ内線(と昔の都電)は青梅街道に沿っています。つまり昔からの町を縫うようにして走っています。
しかし、中央線は地形も町も関係なく真っ直ぐに武蔵野台地を東西に通っています。用地買収をしやすくするためにワザと何もないところを通したのですね。そしていくつか駅ができ、そこに町ができる。するとそれらを繋ぐ道もできる。
つまり、中央線ができたことによって武蔵野の町も道も一新され、それによって生活も変化していったのです。それらの町と道、そして中央線を消してみると、七世紀から十九世紀の長きにわたる武蔵野の人々の生活が見えてくるというワケです。
特に陣内さん、三浦さんによる巻頭対談が素晴らしい。概論として、この本に書かれていることが総括されています。その後は中野・高円寺・阿佐ヶ谷などの各論が述べられ、実際に古街道を歩きながら検証していてとても面白いのですが、あまり興味のない方には判りにくいかもしれません。
新宿学
次は「新宿学」(戸沼幸市編著、青柳幸人・髙橋和雄・松本泰生著/紀伊國屋書店)。何やら難しそうなタイトルですが、確かに専門的で少々堅めの文章です。しかし、新宿の地勢学から江戸時代の内藤新宿、近代の新宿駅の発展を丁寧に解説しながら、その歴史と未来図を探求しています。元々は早稲田大学オープンカレッジの講義をベースとしたものらしく、学術的にも確かな内容です。
とにかく、コレを読めば新宿の、特に新宿駅近辺の歴史が全て判るというシロモノですよ。一日350万人が乗降するという、世界最大のターミナル駅の発展の過程が詰まっています。
そもそも現在の新宿エリアは、中世までは特に大きな町ではなかったようです。しかし、江戸時代に甲州街道と青梅街道、そしてその分岐点である新宿追分ができて人馬の往来が激しくなり、さらに江戸初期に「内藤新宿」と呼ばれる新しい宿場町ができると一気に町が大きくなります。
そして明治十八年に現在で言うところの山手線新宿駅ができますが、町外れにできたためにほとんど利用者がなかったってのも面白い話です。今では考えられないでしょ。
その後、中央線、都電、京王線、小田急線、地下鉄丸ノ内線・新宿線・大江戸線と、乗り入れる鉄道が増えるたびにターミナルが巨大化し、現在のようなモンスターターミナルとなったのです。まさに鉄道が町を作ったのです。
迷い迷って渋谷駅 日本一の「迷宮ターミナル」の謎を解く
最後に「迷い迷って渋谷 日本一の「迷宮ターミナル」の謎を解く」(田村圭介著/光文社)。タイトル通り迷宮のような渋谷駅が何故できたのかが時代を追って丁寧に解説されています。もちろん鉄道駅ができる前の古代から近世に至るまでの渋谷についても語られています。
ええと、たしかそんな内容でした。いや、この稿を書くに当たって読み返そうと思ったのに見当たらないのですよ。多分家のどこかにはあるのだと思いますが、何しろとっちらかっているモノでして。多分大掃除をしたら出てきます。なので、本書の内容と言うよりは、著者と田村研について書いてみたいと思います。
昭和女子大准教授である著者は、ゼミである田村研究室のメンバー・学生と共に渋谷のグランドデザインを研究し、その成果を書籍だけでなく、渋谷各所にて催されるイベントなどでも披露しています。
今年の春に観たのは、ヒカリエの4階に展示されていた田村研による「ダンボール製の渋谷」でした。5m×5mほどのダンボール製の地面。しかも、ちゃんと素の地面の起伏も再現されています。その上にダンボール箱を積み重ねた渋谷のビル群が建ち並びます。
ただし、あくまで簡易な概念図ですので、リアルに再現されているワケではなく、イメージとしてのジオラマでしたけど。しかし、ミニチュアというには大きすぎる、迫力のあるディオラマでした。
以上、三冊の、今年になってから刊行された「東京西部における土地と鉄道駅との関係性」を丁寧に描いた書籍でした。もうね、この手の本は最近どんどん刊行されていますから、その中から個人的に面白い本を見つけ出して読むのが大変なんです。いや、嬉しいんですけどね。
さあ、そんな感じの六月。現在「ママと僕たち」上演中です。
http://www.nelke.co.jp/stage/mamaboku/
それと、「仮面ライダー ウィザード」出演中です。
http://www.tv-asahi.co.jp/wizard/
来週6/30にも出ていますからお見逃しなく!
じゃ、日曜朝八時に、テレビ朝日で僕と握手!