2017/01/27

地テシ:090 さらにちょっと音楽の話を

松重豊マスターのFMヨコハマ「深夜の音楽食堂」にゲストで呼んで頂いたこの冬ですが、ちょっと音楽について色々と考えた冬でもありますので、松重さんとの会話に出てきた最近お気に入りのアーティストのことを忘れないうちに書いておこうと思います。

すでに二週続けて音楽の話をしちゃったけど! もういいよって思うかもしれないけど! あんまり興味ないんだけどとか思われてるかもしれないけど! こういうのは勢いですからね。ザッとサクッとご紹介しておきます。


まずはつい先日ニューアルバムを発表したばかりのSuchmos。一般のニュース番組に取り上げられたり、軒並みの音楽雑誌の表紙を飾ったりしている、今話題のバンドです。キーワードとしてはやはりジャズ、ソウル、ヒップホップをミクスチャーしたバンド、という取り上げられ方が多いようです。

中でも有名なのは、ホンダのVEZELのCMで使われたこの「STAY TUNE」ではないでしょうか。



でも、個人的にはこちらの「MINT」の方が好きなんですけどね。



グルーヴィーなバックトラックと、スモーキーなヴォーカル。これからも注目のバンドだと思います。


また、私の直前に番組のゲストとして来たCeroさんも格好いいんですよ。



リラックスした雰囲気の中にもちょっとひねくれた感じの漂う、クセになるテイストのバンドです。これもまた新しいJ-POPのカタチなんじゃないかなとか思います。


そして、松重さんもイチオシのポストロックバンド・D.A.N.



揺蕩うような不思議なビートなのに緊張感あるトラック。同じく日本のバンドであるSPECIAL OTHERSとか宇宙コンビニとかに近いストイックな魅力があります。







女性ヴォーカルも忘れてはいけません。番組では「舌足らず系」とか言っていますが、いわゆるウィスパーヴォイスですね。カラスは真っ白のヤギヌマカナさんを形容する時に舌足らず系と表現しましたが、その系統の声が好きなんでしょう。
有名な人で言えばカヒミ・カリィさんとかCHARAさんとか、ああいう囁き声でちょっと舌足らずな感じ、たまらないんですよね。

ウィスパー系といえば、最近のアーティストでは番組でも言っていた相対性理論とかパスピエとか流線型とか。
他にもフレネシとかi-depとかLampとか。
もう羅列しているだけですけども。気になる人は検索してみてください。全部カッコイイから!


あと、相当に昔の曲で、しかもそれほど有名なアーティストではないのですが、miyako kobayashiさんのウィスパーヴォイスは大好きでしたねえ。




ああ、邦楽を紹介するだけでいっぱいになってしまいました。では、洋楽はまたの機会に。ていうか、ただ私の好きな曲を垂れ流しているだけなんですけどもね。

2017/01/26

地テシ:089 続・ちょっと音楽の話を 《1/24OA対応版》

テレビ東京「バイプレイヤーズ」(毎週金曜深夜OA)第二話も面白かったですね。今回は遠藤憲一さんと松重豊さんの二人がフィーチャー。共演NGな二人?ってのもありそうでコワい。でも、ラストトークで光石研さんが言っていた「館山で何かあるんですか!」の時の、キャストスタッフ全員の爆笑が感慨深い。


そんな松重豊さんがマスターを務めるFMヨコハマ「深夜の音楽食堂」。例の漫画原作ドラマ「孤独のグルメ」(これもテレ東だ)のヒットからグッと知名度が上がった松重さんですから、こういう番組名なんだと思います。
思えば我らが座長いのうえひでのりが演出を務めたプロデュース公演「忠臣蔵ブートレッグ」(1995年)に松重さんがご出演なさった頃からの知り合いでして、長いつきあいではあります。とはいえ、舞台共演は「流れ姉妹〜たつことかつこ〜」(2005年、2010年再演)の一回しかありませんが、それ以来ドラマの仕事で一緒になったり出演舞台を見に行ったりするたびに、最近のオススメ音楽を教え合うという仲なのです。

そして1/24は二回目のOAでした。前回が洋楽だったので、今回は邦楽。といってもヒットチャートを賑わすような方向ではなく、ちょっとひねくれた邦楽さんたちでしたが、まあしょうがないよね、私がひねくれてるから。


一曲目は松重さんの選曲でRonny Jordanで「Heaven」(アルバム「At Last」収録)。



先週の最後の曲であるGURUの「No Time to Play」でもギターを弾いていたロニー。どうやら私が松重さんにご紹介したようです。覚えてないけど。
このRonny Jordanはジャズをベースに、フュージョンとかアシッドジャズとかクラブミュージックに広がる幅広い音楽を手がけているんです。端正で粋な音楽というのでしょうか、派手に強く出すのではなく、玄人好みのクールなギタリストです。オクターブ奏法を駆使するあたりがウェス・モンゴメリーを思わせるテクニシャンですよね。


その後からは、今、そしてこれから注目されそうな若いバンドをリクエストさせて頂きました。
二曲目は昨年デビューしたばかりの謎の覆面ユニット・Nulbalich(ナルバリッチ)で「NEW ERA」(アルバム「Guess Who?」収録)。デビューアルバムとは思えない程完成されたアルバムからのシングル曲。ドリーミーにディレイの効いたシンセと伸びやかなヴォーカルから始まるオープニングからエレピへと続く導入部がカッコイイ。ハネたバウンス系のリズムに乗った曲のなかでも楽器の出し引きが巧妙で、4コードと3コードループのシンプルな構成なのに飽きさせない作りになっています。



覆面ユニットなので、個人なのかバンドなのかすら判りませんが、見事な構成と手慣れたアレンジからタワレコなどでも大プッシュされており、早モノが好きな人々から注目されております。今後の作品にも注目です。


三曲目は2010年に札幌で結成されたポップなファンクバンド・カラスは真っ白で「ハイスピード無鉄砲」(ミニアルバム「すぺくたるごっこ」収録)。ハスキーでポップな女性ヴォーカルとファンクでパンクなバックトラックが闘うような不思議な音楽性が魅力的でとても気に入っていたのですが、残念ながらこの3月で活動を休止するようです。
http://acrowiswhite.com/news

「ハイスピード無鉄砲」というタイトルがなんとも語呂が良い。メンバーのテクニカルで確かな演奏技術とふわっとしたヴォーカルとが相まってこれからが楽しみだっただけに解散するのは残念です。



あと、こちらの「fake!fake!」という曲もカッコよくて、アニメのMVが超可愛い!



先週、今週と改めて聴いてみると、静かに始まってから、ドンッとバックトラックが入るタイプの曲が多いコトに気付きました。多分私がそういう曲が好きなんでしょうね。


さて、最後の四曲目は、ここにきて何故だか昔の曲を。高橋幸宏さんで「La Rosa」(アルバム「Saravah!」収録)。



このアルバムが発表された1978年はYellow Magic Orchestraがデビューした年。YMOといえば言わずと知れた日本のテクノポップバンドの元祖でして、そのメンバーである細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏の三人は、日本の音楽業界の中心に居続けるビッグネームです。YMOは日本のみならず世界でも注目されたのですが、そのデビュー直前に、この三人はすでにこの「Saravah!」において共演を果たしていたのです。

ユキヒロさんのフランス趣味が前面に押し出されたこのファーストソロアルバムは、オシャレで流麗でポップな名作です。中でも細野さんのベースプレイが圧巻!

細野さんのベースプレイが大好きなのはことあるごとに書いてきましたが、その中からかつて連載していたメールマガジン「貧弱ユビキタス」で細野さんがリーダーだったバンド「ティン・パン・アレー」について書いた文章を転載してみます。

『メンバーのテクニックも抜群です。キレがあるのにタメのある林立夫のドラムス、クリーンな音のストラトなのに妙に粘りのある鈴木茂のギター、控えめながら全体を包み込む松任谷正隆のエレピ。しかし、やはり特筆すべきは細野晴臣の恐るべきベースでしょう。いや、別に速弾きってワケでもないし派手ってワケでもない。でも、かすかに修飾音符が入る独特のフレージングと、正確無比なタイム感が物凄いんですよ』

荒井由実(ユーミン)さんの名曲「卒業写真」についてはこう書いています。

『例えば名曲「卒業写真」を聴くと、よく知ったメロディーとユーミンの声に心を奪われます。ホントに良い曲だ。卒業式で歌った方も多いかもしれません。でも、改めて聴くとバックトラック(伴奏)が物凄いコトになっていますよ。特にベース。細野さんが弾くベースラインが、ややもすれば歌の邪魔になる程に跳ねまくっています。でも、今までは気にならなかった。と言うことは邪魔にはなっていないんです。邪魔ではないんだけど、一度ベースが気になるともうそこから耳が離せません。もしオリジナル音源をお持ちの方がいらっしゃったら、一度ベースにだけ注意して聴いてみて下さい。ビックリするくらい跳ねていますから!』

細野さんのベースプレイを紹介したくて、でもさすがに「卒業写真」では有名すぎるから、この「La Rosa」を選んだんだと思います。ココでも細野さんの天才的なフレージングが光ります。もちろんユキヒロさんの軽快なドラムとアレンジも手がける教授の粋なキーボードも印象的です。

今回も番組公式ブログにて収録の模様をレポートして頂きました。
http://blog.fmyokohama.jp/yashoku/2017/01/17-ccb6.html
私のつたないおしゃべりをきちんとフォローして下さっています。ありがとうございます。

音楽好き仲間である松重さんと、久しぶりに思う存分音楽談義をさせて頂いて楽しかったんですよ。またこのような機会があればと思います。
お聴き頂きました皆様、ありがとうございました。まだの方は、公式HPから一週間以内ならタイムシフト視聴が可能ですよ。

2017/01/20

地テシ:088 ちょっと音楽の話を 《1/17OA対応版》

新年早々の「トリドクロ」出演情報に続いて、今春の出演情報が解禁になりました。
NAPPOS PRODUCE「スキップ」は北村薫さんの名作小説「スキップ」の舞台版。13年前にキャラメルボックスで上演された作品を、同じく成井豊さん脚本・演出でお届けします。2017年4月26日(水)〜5月5日(金・祝)にサンシャイン劇場にて。今作は東京のみの上演となりますが、GWの旅行気分でお越し頂けましたら幸いです。
詳しくはこちら。
http://napposunited.com/archives/807

さて、突然ですが、テレビ東京って面白いなあと思うんです。一応民放五大キー局の一つであるにもかかわらず、なんとなくひねくれているというか自虐的というか、一種アウトロー的な風格を漂わせているあたりが面白いですよね。
オンエアされる番組も、低予算を逆手にとって捻ったアイデアの作品が多いように思われます。

そんなテレビ東京で1/13から始まったドラマ24「バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜」が面白いんですよ。出演は遠藤憲一・大杉漣・田口トモロヲ・寺島進・松重豊・光石研という、今やドラマ・映画には欠かせない名脇役たち。この一癖も二癖もあるおじさんたちが本人役で出演し、一つ屋根の下で共同生活をするというとんでもない設定。当然の如くただではすまず、第一話から大騒動。

私も田口トモロヲさんと松重豊さんとは共演経験があるので余計に気になるのよ。しかもみんな本人役。これまで出演してきた番組がネタになっていたり、ありそうでないような架空のドラマが出てきたり、明らかに有名番組のパロディだったり。
またテレ東さんがぶちかましたカンジがプンプン匂いますので、気になる方は是非。毎週金曜日の深夜OAですよ。


で、そんな松重豊さんが昨年からFMヨコハマで深夜音楽番組を始めたというのは御本人から伺っていたのですよ。ああ、憧れですよね、深夜FM音楽番組。学生の頃、深夜勉強のBGMはFM音楽番組でした。NHK-FMの「クロスオーバーイレブン」とかエフエム東京の「ジェットストリーム」とか。濃いコーヒーを飲みながら、時々ペンを止めて聴き入っていたもんです。
で、その松重さんの番組・FMヨコハマ「深夜の音楽食堂」にゲストとして呼んで頂きました。その一回目は去る1/17深夜に既にオンエアされてしまったのですが、念願の深夜FMで嬉しかったなあ。しかも私の好きな曲ばかり。そりゃそうだ。だって私のリクエストを掛けて頂いたんだから!

トークの内容は、まあ聞いて頂いた通りなのですが、ご紹介した曲についてちょっと補足しておきたいと思います。FMの音楽番組ともなれば紹介したい曲はいっぱいありまして、もう悩みに悩みまくったのですが、結局は「松重さんがお好きそうな曲」という観点で絞りました。どちらかというとヴォーカルのないフュージョンやクラブミュージック、いわゆる「インスト」モノの方が多い私ですが、今回は全て歌ありの曲ばかりを選んでいます。

まず一曲目は松重さんに教えて頂いてから大ファンになったサンフランシスコのアシッドジャズバンド・FIVE POINT PLAN「LIVE TODAY」(アルバム「Five Point Plan」収録)。
https://itunes.apple.com/jp/artist/five-point-plan/id16239375
どうやら私はこういう「ミドルテンポのシンプルなバックトラックに細かい譜割りのヴォーカルが乗る」曲が好きなようです。ハネるようなウネるようなタメのあるバックトラックに、シンコペーションで前の小節に喰っていくセクシーなヴォーカル。抑制の効いたベースとゴースト多めのスネア、エッジーなギターカッティング、ファンキーなオルガンソロ。
二枚のアルバムしか残していませんが、どの曲もグルーヴィでカッコイイ! ソウルとジャズとファンクとヒップホップが入り交じって、いいカンジに熟成されたようなバンドです。


二曲目はオランダのソウルクイーン・SHIRMA ROUSE「Take me as I am」(アルバム「Chocolate Coated Dreams」収録)。
番組の中で私はつい「シャーマ・ローズ」と言ってしまっていますが、どうやら「シャーマ・ラーズ」が正しいようです。これまたタメのある、ちょっとルーズめのバックトラックに、シャーマ・ラーズの伸びのあるパワフルなヴォーカルが乗るゴキゲンミュージック。ビートはシンプルですが、相当に細かい計算がされた複雑なグルーヴが心地よい。



このアルバムをリリースしているのは「SWEET SOUL RECORDS」という日本のレーベルで、名前の通りスウィートなソウルミュージックが満載です。私はこのレーベルのラインナップがお気に入りでして、ついレーベル買いするほど私好みなんです。まあレーベル買いという用語があるかどうか知りませんが、言ってみればジャケ買いの発展形でして、そのアーティストをよく知らなくてもレーベルを信じて買ってしまうこと。80年代頃はJ-POP系のCBS/SonyやEpic Sony、90年代はアシッドジャズ系のACID JAZZ RECORDSやTalkin' Loud、ブレイクビーツ系のNinja Tuneなどが好きでしたが、最近ではこのSWEET SOUL RECORDSやファンク系のP-VINEレーベルがお気に入り。
SWEET SOUL RECORDSさんの公式HPはこちら。
http://www.sweetsoulrecords.com
知られざる海外アーティストもたくさん紹介していますが、日本の若手ソウルアーティストをたくさん取り上げてくれているのも嬉しい。注目の日本人シンガーがソウルの名曲をカバーしているコンピレーションアルバム「SOUL OVER THE RACE」シリーズは愛聴盤です。




三曲目はGang Starrのラッパー・GURU「No Time to Play」(アルバム「Jazzmatazz,Vol.1」収録)。ヴォーカルはD.C.Lee、ギターはRonny Jordan。リズムパターンのサンプルはThe Love Unlimited Orchestraの「Satin Soul」のイントロ。これもヒップホップとジャズの融合として有名なアルバムでして、ヒップホップならではのシンプルなリズムループの上にグルーヴィなヴォーカルとギターとラップが乗っかっています。
大阪のオシャレ居酒屋で流れていて、あまりの格好良さにお店の方にお願いして曲名を調べ、その夜にはもうiTunes Storeで購入していたというほど好きな曲。今ならばShazamやSoundHoundといったスマホアプリで簡単に曲名を調べられますが、当時はそんな便利なアプリは持っていなかったので直接尋ねるしかなかったのですよ。



ビデオクリップもクールですね。

取り急ぎ、1/17OA分の、私の大好きな曲についてご説明いたしました。ええと、聴き損ねた方、まだ間に合います。
https://www.fmyokohama.co.jp/pc/program/ShinyanoOngakushokudo
PCでこの番組公式サイトに行って「radikoタイムフリーで聴く」ボタンを押して頂ければ、一週間以内なら聴けます。(聴取可能時間制限あり)
番組の公式ブログでも収録風景を取り上げて頂きました。
http://blog.fmyokohama.jp/yashoku/2017/01/16-f0f5.html

次回は1/24(火)深夜24:30からですので、おじさん俳優二人の音楽話に興味がある方はぜひ。
今回はちょっと音楽系の専門用語が多くてすみません。でも、気になる人はそれぞれ検索してみるがいいさ。ああそうさ。

2017/01/15

地テシ:087 「人喰いの大鷲トリコ」と「The Witness」そのよん

今年の頭に公表されましたので「トリドクロ」に出演することがやっと言えるようになりました。詳細はこちら。
http://www.tbs.co.jp/stagearound/toridokuro/
それと、新年一発目のお仕事は、松重豊さんがマスターを務めるFMヨコハマ「深夜の音楽食堂」のゲストです。1/17(火)と1/24(火)の24:30。全くタイプが違うのに、意外と好きな音楽が似ている二人のおじさんが音楽について話します。
http://www.village-artist.jp/UserNews/Detail/234
http://www.fmyokohama.co.jp/pc/program/ShinyanoOngakushokudo
FMラジオがなくても、スマホなら「radiko」というアプリで、PCならradiko.jp公式サイトで聞けます。さらに、一週間以内ならばradikoタイムフリーでも聞けますよ。


さて、前回に引き続き「The Witness」というパズルゲームにハマっているという話。美しい景色の中に散りばめられたパズルをひたすら解いていくオープンワールドパズルゲーム。シンプルな一筆書きパズルなのに、飽きずに楽しめて難しい。それは何故なのかって話ね。そのワケを書きましょう。

それは「どんどんルールが変わっていく」から。最初は「スタートからゴールまで繋ぐ」だけだったのが、なんか急に盤面に謎の記号が書き込まれた迷路に出逢うのです。こうなると何らかのルールに則って一筆書きを解かなければならない。ところが、そのルールについては一切書かれていないのです!
島を歩き回っていると、同じようなパネルが六つくらい並んでいる所があります。それが新ルールのチュートリアルらしい。といっても説明はないんです。簡単なパズルを新ルールの仮説を立てながら解いていきます。解けたならばその仮説は正しい。解けなければ仮説を立て直す。そうやって六つくらい解けばルールが理解できますので、その先の扉にあるパネルの迷路を解いて扉を開けたりしていきます。
ところが、しばらく進むと今度はまた別の記号が書き込まれた迷路が出てきます。そうすると解けない。だってルールが変わったから。
じゃ、この扉は放っておいて別の場所に行きましょう。そこがオープンワールドの良いところ。島は広い。まだまだたくさんパズルはあります。解けるヤツから解いていきましょう。その内に新しいルールもわかることでしょう。
噂ではパズルは650個以上もあるらしいです。中には体を使って解くパズルや島の大地自体を使うようなパズルも出てきますが、結局ぜーんぶ一筆書き! これほどまでに一筆書きにこだわった、しかしバラエティに富んだパズルは見たことがありません。

オープンワールドのお陰で、全てのパズルを解かなくても最終ステージには辿り着けます。なのでそろそろ終盤っぽいのですが、いやあ益々難しい! どんどん新ルールを理解して、どんどん行けるところは広がるのに、謎は深まるばかりです。え、ココもパズル? コレもパズル? ココとココが繋がってるの? この意味ありげなオブジェ何?
パズルの苦しみと楽しみ、ギミックの驚き、新鮮な閃き。空気感は往年の名作アドベンチャー「MYST」や「Portal」を思わせ、パズルを解いて進んでいくのはiOS・androidの名作パズル「Tengami」や「Monument Valley」を思わせます。
いずれも静かで独特の雰囲気を持つ名作ばかり。まあ、単に私がこういうタイプの作品が好きなだけでもありますが、こういうタイプなら何でも面白いかと言えばそうでもなく、中でも「The Witness」は相当に面白いと思います。
ただし、解けなくてかなりイライラしますけどね。悩みながら自力で解くからこそ面白い。その分だけ先に進めた時にはカタルシスを感じるのですが、相当にパズル大好きな人にしかお勧めできない作品です。

「The Witness」はPS4でダウンロード専売のインディーズゲーム(他にPC版と海外XBOX One版もあり)で、デザインしたは時間巻き戻し可能な名作アクション「Braid」を作ったジョナサン・ブロウ。インディーズゲームではメーカーの束縛がない代わりに予算が少ない場合が多いのですが、そのお陰できらりと光るアイデアの作品がたくさんあります。これもその成果の一つ。
ガンガン宣伝されるような大作ばかりでなく、こういう隠れたインディーズ名作がどんどん注目されると良いなあとか思います。では、また。




追加の後日談……

ようやくにして、ついさっきエンディングまで辿り着きました! あー、面白かった! そして辛かった! なんでお金出して買って、時間もたんまり掛けてまでイライラしているのか判りませんが、まあ要するに楽しいからなんですけどね。楽しく辛く、そして辛く楽しい。これぞゲーム。

なお、全てのパズルを解かなくても最終ステージまで行けるのですが、全てのパズルに挑戦したい方は、なんとなくラストっぽいなっと思ったらセーブしておく(ゲームを終了すればオートセーブされます)コトをオススメします。おおむねスタンバイモードで中断しながらプレイしてきた私は、今、エンディングを終えて呆然としております。さすがにもう一度頭からプレイし直す気力は無いぜ! するけど! するんかい!

2017/01/13

地テシ:086 「人喰いの大鷲トリコ」と「The Witness」そのさん

お正月三が日のどこかで都心のビジネス街を散策するのがここ数年の定番なのですが、それは普段は人通りの多い繁華街が閑散としているのを見るため。結構楽しいんですよ。
で、今年は目先を変えて虎ノ門から日比谷、丸ノ内と抜けてみたのですが、ここらはむっちゃ人が多い! 霞ヶ関あたりは街宣車と警官で騒がしいし、丸ノ内・東京は一般参賀の人と駅伝応援の人とでごった返すし。結局、いつもの大手町、神田、御茶ノ水あたりで人が少なくなってホッとするのね。


こちらは神田司町あたりですが、ほら、閑散としてるでしょ。いつもなら人と車で一杯の場所ですよ。


さて、待ちに待った「人喰いの大鷲トリコ」を頭を悩ませながらやっとクリアした私。「これ、どーやって解くんだ?」とホントに頭を悩ませたので、ダウンロードしたまま放っておいた「The Witness」というゲームを軽い息抜き気分で始めてしまった私。そしたら見事にハマってしまってずっとプレイしている私。そのままいつの間にか日付が変わって年を越してしまっていた私。そしてまた今年も頭を悩ませている私。そう、それが私だ。

「The Witness」はパズルゲーム。でもただのパズルではありません。一人称視点で探索しながら進むアドベンチャーパズル。いわば「オープンワールドパズル」なのです。ん? それはいったいなんだ?
オープンワールドというのは、ここ数年のゲーム業界で流行っている「ローディング無しで自由に移動できる広大なフィールド」のコトです。最近では「GTA5」とか「ウィッチャー3」とか「Fallout 4」とか、要するにシナリオの自由度が高く、広大なフィールドを歩き回りながら好きな順番で進んでいけるようなタイプのゲームです。先日発売された「FFXV」でもオープンワールドシステムが採り入れられて話題になりました。
「The Witness」の舞台はある無人島。決して広大ではありませんが、かなり自由に歩き回れます。この《フィールドを自由に歩き回れる》というのがポイント。

普通のパズルゲームの場合、トップ画面にズラッとパズルが並んで、一問が解けたら次のパズルがオープンして、みたいに進んでいきますよね。純粋にパズルをプレイしたいならそれが正解です。
しかし「The Witness」ではパズル問題が島のあちこちに散りばめられているのです。島には小屋や地下室や庭園などがあり、森あり池あり山があり。シンプルながらも美しい景色の中を歩き回りながらパズルを探してどんどん解いていくのです。とりあえずこちらのトレーラー動画をご覧下さい。



ちょっと怖そうな雰囲気がありますが、ホラー系ではありません。廃墟風の無人島だからちょっと不気味な感じはしますけど、コワくはありません。
で、この動画を見て頂ければ判るのですが、出てくるパズルというのが、全部「一筆書き」なんです。迷路風の一筆書きだけなんです!
アドベンチャーパズルの場合、解くべき謎はバラエティに富んでいるのが普通です。スイッチを押したり、石像を動かしたり、光を当てたり、謎のメッセージを解読したり。そうやって飽きさせないようにしているというか「今度はこう来たか!」という閃きを楽しむのです。
しかし! 今作では文字情報は一切無く、パズルはずーっと一筆書きなんですよ。「スタートからゴールまで一本線で交わらずに繋ぐ」だけの迷路。しかも大して広くない盤面。せいぜい6×6マスくらいの正方形。なのに飽きないんだよな! そして難しいんだよな! なんでだ?

その答えは次回!