2013/03/24

テシタル地上派042 伏見城に行こう! その弐

前回のあらすじ。伏見城に行きました。
あ、一言で終わった。終わっちゃったね。

そう、前回まではあくまで前哨戦。本当の目的はこの後にあったのです。

といいますのも、伏見城の地図を見ていて、こういう地名があることを知ったのです。


















どう、「京都府京都市伏見区桃山町治部少丸」! つまり、ここに石田治部少輔三成の屋敷があったってコトらしいのですよ。ちなみに治部少輔は三成の官職名です、念のため。
三成は豊臣政権での重鎮。五奉行の一人として実務的な部分ではほとんど三成が差配していたらしいのですね。なので一番忙しい。よって本丸に一番近い部分に上屋敷を持つことが許されていたようです。新創社から出ている「京都・観光文化時代MAP」によると、大手門を入ってスグの所に三成屋敷があり、その後三の丸・西の丸・本丸と続く構成になっていたようです。また、長束正家や前田玄以など、他の奉行衆の屋敷も三の丸近辺に配置されていたようですね。

京都・観光文化時代MAP (Time Trip Map-現代地図と歴史地図を重ねた新発想の地図-)
京都・観光文化時代MAP (Time Trip Map-現代地図と歴史地図を重ねた新発想の地図-)


てなワケで、現在でも行政地名として残っている「治部少丸」。てことは、今、この住所に住んでいる人がいるかもしれないってコトですよ。なんか素敵。
なので、この治部少丸に行ってみよう、というのが今回の旅の目的であったのであります。え? そうなのかよ! そうなんです! じゃ、行ってみましょう。














ええと、竹藪だらけ! 竹藪こけたらみなこけた。違うな。ともかく、治部少丸は全域が鬱蒼たる森であり、しかも宮内庁管轄で一切立入禁止でした。なぜ宮内庁なのかは後に書きますが、少なくともこの住所に住んでいる人は一人も居ませんでしたよ。残念。

ただ、三成の屋敷内には「治部池」と呼ばれる池があったと伝えられており、それは今でもありました。入れないけど。この池は伏見城の堀の一部でもあったようです。














さて、前回お見せしました伏見城の模擬天守ですが、現在建っているのは奉行たちの屋敷があったあたり。つまり本当の場所ではありません。それが故に模擬天守と呼ばれているのですが、では本当の天守が建っていた場所、つまり木幡山の山頂には現在何があるのでしょうか。実はなんと明治天皇陵があるのです。














ここが山頂で、振り返って見ますと南側の元・巨椋池方面が一望できます。















天守閣からならば四方を綺麗に見晴るかす眺望だったことでしょう。

明治天皇陵、皇后陵があるために宮内庁管轄であり、立入禁止だったのですね。ちなみに、大正天皇以降は東京の多摩丘陵に祀られているため、京都に陵墓がある最後の天皇陛下が明治天皇ということになります。
また、伏見城の裏手には桓武天皇陵もありますよ。

この明治天皇陵の南側にはそれはそれは長くて立派な階段がありまして、














なぜかこの日は大勢の幼稚園児たちがえっちらおっちら階段を登ったり降ったりしていました。下から見ると石段の大きさがよく判りますね。


















そのまま階段を降りて京阪宇治線桃山南口駅前から木幡山を見上げますとこんな感じ。














この山頂に伏見城は建っていたのですね。伏見城は江戸時代初期に廃城となり、元禄期になって桃の木が多く植えられたため「桃山」と呼ばれるようになりました。これが「安土桃山時代」と呼ばれる由縁ですが、ってことは秀吉の時代には特に「桃山」ではなかったワケで、ならば「安土伏見時代」でも良かったのではないか、とか色々思ってしまいますが、とにかく今ではこの辺りは「桃山町」なんです。

「桃山町治部少丸」の他にも武将の名の付いた地名が多く残されておりまして、「桃山町板倉周防」とか「桃山町松平武蔵」などがあります。また、西の城下町の方にも「両替町」とか「御駕籠町」などもあり、いかにも城下町といった風情なんですね。
同様に、丹波橋駅から真西にずいぶんと行った所に、今度は「伏見区治部町」という地名もあり、こちらには三成の下屋敷辺りが建っていたのではないでしょうか。














この丹波橋通も風情のある街並みが続くのですが、お堀に掛かる丹波橋のたもとには月桂冠の酒蔵などもあり、土蔵造りの家々が散見されます。さすがは伏見の酒どころ。

 













もちろん伏見に来たからには他にも色々と見たい場所はあったのですが、今日の目的はあくまでも伏見城と治部少丸。あまりうろちょろせずに大阪の宿に帰りましょう。また伏見に来る機会はあるさ。

といった伏見城探訪記。こちらは佐和山城のような過酷な山登りはありませんので、機会があればぜひ訪れて見て下さいませ。