2012/05/11

テシタル地上派 025 今和次郎の巻

「シレンとラギ」大阪公演もあと僅か。でもその後には長い東京公演が待っています。今のところみんな無事ですが、いつ何が起こるかも判りませんから気は抜けませんよ。

さて、そんな公演中なのですが、今回は比較的楽なポジションです。出番が特別多いわけでも無いし、激しい殺陣があるわけでもありません。なので最後の休演日はちょっと遠出をしてみようと思い立ちました。GWも終わって街もおとなしくなりましたしね。
遠出と言っても大したことはありません。ちょっと万博記念公園まで。以前「貧弱ユビキタス」でも万博公園の「EXPO '70パビリオン」に行った話は書きましたよね。あそこは面白い。でも、みんぱくも面白いんです。みんぱく。万博記念公園内にある国立民族学博物館です。子供の頃行ったっきり長らく行っていません。しかも現在特別展として「今和次郎 採集講義ー考現学の今」が開かれており、これが私向きな企画だよと知り合いから薦められていたんです。ちょっと前に東京のパナソニック汐留ミュージアムでも同様の企画展があったそうですが知りませんでした。気になるので行ってみましたよ。
ただし、二時間だけにしようと思いました。この手の博物館は大好きなのでしっかり見てしまうし、とても広くて充実した内容だというのも知っているし、本番中なので休演日に一日歩いて体力を使うのはまずいし、実家に寄る用事もあるし、ってなカンジで、時間が足りなくなるのは判った上で二時間という時間制限を自分に課した上で行ってきましたよ、みんぱく。
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/20120426kon/index


今和次郎(こん・わじろう)というのは大正から昭和に掛けて活躍した民俗学者、建築家。東北地方の民家の研究家としても有名ですが、最近では「考現学」の創始者としての評価が高いのです。考現学(こうげんがく)。あまり聞き慣れない学問ですね。これは考"古"学に対応して今和次郎が作った言葉でして、考"現"学というのは現代の人間のライフスタイルを収集研究する学問です。
しかもその調べ方が徹底しているんですよ。ある日の銀座を定点観察し、男女の数、洋装か和装か、和装ならばその柄は、スカートならばその長さは、帽子は、小物は、眼鏡は、荷物は。その全てをメモし、スケッチする。そしてそれを統計としてまとめ、さらに判りやすいイラストも添えて表にする。あるいは、ある商店街の店を全て調べ、売っているモノや値段まで記録する。労働者の休息の仕方とその服装をスケッチする。何人も何人も。
とにかく「人のくらしの一切しらべ」の言葉通り、ある事物に関して徹底的に調べているんですよ。しかもその解説図のイラストと字がやたら巧い。今さんなのか、共同執筆者の吉田謙吉さんなのか、ものによってハッキリしないモノもありますが、いずれにしろ読みやすくて綺麗。しかもなぜかトレーシングペーパーに描いてあります。製図用インクでくっきり描かれているので時代が経っても美しい。なんとなくひさうちみちおさんっぽいタッチでもあります。

その後、この考現学という発想は色々な人に受け継がれていきます。会場にはそんな後継者たちの研究も展示されていました。特に名古屋の岡本信也・靖子夫妻の研究が興味深い。「現代の下着」という研究では、夫婦が一年間銭湯に通って、脱衣所で自分たちも着替えながら周りの人々の下着を観察し、それを出てからすぐにメモするという地道な手法で集めた結果が展示されているのですが、その展示方法が独特です。実際の布地を小さく切って人の形を作って、それを何十パターンも並べているのです。なんていうか手芸的というかキルティング的というか、とても可愛らしく判りやすい表示方法です。

他にも色々な考現学の成果が系統立てて整理展示されており、とても興味深い特別展でした。
そういえば、その中にモンゴル人の生活の一切しらべとして、実際に使われていたゲル(移動式円形テント)をそのまま買い取って展示していたのですが、なんと屋根にはソーラー発電パネル、中にはバッテリーと液晶テレビ、そして外には衛星放送用パラボラアンテナまでありました。モンゴルの遊牧民は液晶テレビで衛星放送を見ていたんですね。いや、決してモンゴルの人を差別しているわけではないのですが、素朴で牧歌的というなんとなくのイメージと違って驚きました。
その事実で面白いのは、あくまでモンゴルの伝統的な生活を守り、遊牧し、住居を移動させながらも、部分的には近代的な生活も取り込んでいることです。伝統と進歩を上手く調和させながら生活を営むという選択。実に力強い。

ここまでを何とか一時間で終えました。部分的には読み込めなかった資料もありましたが、ザックリとではありますが見終えました。さあ、次は常設展示です。本館の方に行ってみましょう。
と、ここから先は書いても無駄です。何しろ広い! 以前行った千葉の国立歴史民族博物館(れきはく)も広かったけど、それ以上に広い(延床面積比)! 「れきはく」は国内の展示が中心でしたが、「みんぱく」は世界の展示が中心。世界各国の民族の生活やら服飾やら道具やら宗教やら楽器やら、なんかもうこれでもかとばかりに展示されています。無理。一時間で見るなんて無理。判ってはいたけどね。
気になる部分だけ見て、後は飛ばし見しながらでも一時間半掛かりました。予定オーバーです。二階の主展示室だけでコレですから、さらに一階展示とミュージアムショップ、ビデオライブラリー、三階の図書室などをじっくり見るつもりなら一日遊ぶことができると思いますよ。今度行こうとか思っている方がいらっしゃいましたら、相当覚悟して行ってくださいね。しかもモノレールの最寄り駅から15分くらいかかるぜ!

2012/05/04

6/11

「シレンとラギ」大阪公演もほぼ半ばに来ましたが、まだまだ先は長いですよ。とにかく最近は無事に千秋楽まで公演が打てることが重要な気がしておりまして、気の抜けない毎日です。とか言いながら、私は結構出番が少ないので割とのんびりとはしていますが油断大敵ですからね。気をつけます。
で、ミロクル通信の「未確認ヒコー舞台:UFB」が更新されました。
今回は着到板について解説しております。着到板ってなに? と思われた方は是非ご一読を。知ったらちょっとだけ演劇が楽しくなる連載です。楽しくなればいいな。ならないかもしれないけど。

今回の「シレンとラギ」はおおむね好評ではありますが、アンケートなどを読んでおりますと痛烈なご意見も見られます。お嫌いな方は相当お嫌いのようです。が、演劇(に限らず表現物のほとんど)は体験した方のもの。どのように感じられようとも、それがあなたにとってのその作品です。ご自由に感じて下さい。

さて、きたる6/11! ずいぶんと先ではありますが、apple社がWWDC2012という新製品発表会を開きます。なにやら新しい製品が発表されるとの噂があり、appleファンの間で話題となっております。
新型のMacBookProが発表されるのか、iOSがバージョンアップするのか、ひょっとしたらiPhone5が出るかもよ、いや多分出ないよ、いや出るかもよって言ってるんじゃないか、だから出ないんじゃないのって言ってるだけだよ、ああそうかいお前なんてもう友達でもなんでもないよ、ああこちらこそ願い下げさ、みたいな脳内ディスカッションが行われております。私の脳内も大変です。

まあ、とにかく待ちますか、6/11を。

2012/04/26

テシタル地上派 024 忙しい春の巻

4月だというのにまるで初夏のような陽気の昨今、皆様は如何お過ごしでしょうか。私はそんな陽気を余り実感することもない日々を過ごしております。それは日中はずっと劇場に籠もっているから! 毎日舞台稽古でバタバタとした日々を過ごしております。過ごしておりました。しかし! やっとの事で一段落できます。なぜならば初日が開いたから!
そんなワケで「シレンとラギ」の大阪初日が無事に開きました。無事に、と言っても色々とあったのですが、まあとにかく、大きな事故もなく終わりました。これから7月頭までの長い長い旅に出ます。なんとか無事にこの旅を終えたいと思います。

新感線にしては割と珍しくドロドロとした内容。恋愛の要素や親子の相克など、シェイクスピアのようなという指摘も聞かれる今作ですが、確かにそんな側面も否めません。勧善懲悪ではない、それぞれの思惑が交錯する愛憎劇。ドロドロとしながらも、ラストのカタルシスにはご満足頂けると信じております。ご満足頂ければいいな。まあ、そんなラストシーンの前に私は死んでしまうんですけどね。

そんな「シレンとラギ」の初日ではありましたが、時を同じくして色々と発表がありましたね。
まずは新感線の冬公演。
http://www.goemon3.com/
東急シアターオーブのこけら落としは「五右衛門ロックIII〜ZIPANG PUNK」でした! どんな話になるのか、我々もまだ知りませんが、RXですしこけら落としですし、なんかハデなカンジになるんじゃないでしょうか。
今年の12月から来年の1月が東急シアターオーブ、渋谷に新しく出来る複合ビル・渋谷ヒカリエ(今日4/26オープン!)の中にありますよ。そして来年の2月がオリックス劇場(4/8オープン)、何度か公演したことのある大阪厚生年金会館がリニューアルした劇場です。どちらも出来たてですので綺麗だと思いますよ!

それからCM情報。
http://www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/galbo/cm/
株式会社明治さんのチョコ菓子「ガルボチップス・ガルボキューブ・ガルボボール」のCMに出ております。久しぶりに仲里依紗さんにもお会いできたし、楽しい撮影でした。そして、明治のガルボ、おいしいよ! チョコしみ!
里依紗さんだけでなく、三浦春馬さんにも初めてお会いしたのですが、やはりイケメンでしたね。そういえば資生堂のuno FOG BARのCMには四人のイケメンが出ていますが、これでその御四方にお会いしたことになります(瑛太さん→牡丹灯籠、小栗さん→髑髏城、妻夫木さん→ローレライ、春馬さん→ガルボ)。皆さん、イケメンでしたよ!


ついでに色々仕事情報も載せてしまいましょう。
まずは夏公開の映画。
http://www.wild-strawberry.com/ws/shigawaka/
「死ガ二人ヲワカツマデ…」は二章立てになっている映画。二本立てではありませんし、直接の関係はありませんが、同じ世界観を共有する映画です。登場人物も一部被っております。
私が出ているのは「第二章 南瓜花-nananka-」の方。ちなみに新感線からは私の他に中谷さとみ、保坂エマ、そして高田聖子が出演しております。そして「第一章 色ノナイ青」の方には川原正嗣さん、山本カナコ、村木仁さん、そして高田聖子が出演。二本見れば新感線関係者が七人も見られるってワケです。
どんな映画に仕上がっているのかはまだ判りませんが、気になる方はチェックしてみて下さい。9月に全国でロードショーですよ。

あと、声のみの出演ですが企業CM。
http://www.rehouse.co.jp/voice/#/souzoku
「三井のリハウス」HP内「みんなの声鉛筆」の「相続篇」のナレーションをしております。これね、私の声はちょっと置いといても、グラフィックが凄くセンスがあって面白いんですよ。他のバージョンもみんな面白い。私が声をやっているのは一つだけですが、是非他のバージョンもご覧下さい。順次追加されて行くみたいですし。

それから、今夏の私の舞台情報。
http://ameblo.jp/abc-stage/
「abc★赤坂ボーイズキャバレー 3回表 〜喝!&勝つ!〜」は8月末に東京・赤坂ACTシアター、9月頭に大阪・シアターBRAVA!。
前作である「abc二回裏」に河野まさと君が出演しましたね。タイトルにキャバレーと入っているからホストクラブものとか思っていたら大間違いですよ。確かに若いイケメンが沢山出ていますが、中身は硬派なバックステージもの。笑えて泣ける熱いシリーズです。私の役どころなどはまだ判りませんが、若いイケメンに負けないように頑張りたいと思います。


あとはミロクル通信の連載「未確認ヒコー舞台」(http://mirokuru.blog.fc2.com/)と演劇ぶっくの連載「人物ウォッチング」(http://www.enbu.co.jp/kick/)はまだ続いていますし、去年出たドラマ「11人もいる!」(http://www.tv-asahi.co.jp/11nin/)のDVDとBlu-rayも出たみたいですし、なんだか忙しい春です。いや、私は現在公演中の「シレンとラギ」で手一杯なんですけどね。
とにかく、7月頭まで無事にみんなで走り抜けたいと思います。

2012/04/20

テシタル地上派 023 風ノ旅ビトの巻

「シレンとラギ」の稽古もほぼ終わり、そろそろ大阪に向かおうとしている今日この頃ですが、皆様は如何お過ごしでしょうか。私は、さっき書いたようなこの頃です。
大阪に居る間に季節が変わるから持って行く服とかが難しいんだよね、一ヶ月もあればずいぶん気温も変わりますよ、でも意外と急に寒くなったりもするからね、とか考えながらぼちぼち荷造りを始めています。

さて、そんな中、先日出会った衝撃的なゲームの話をしましょうか。前にも書きましたが、心震えるほどのゲームに出会うのは稀です。良く出来たゲームにはよく出会いますし、面白いゲームもたくさんあります。ハマるほど素晴らしいゲームも年に何本もあります。しかし、「心震えるゲーム」となると年に一本くらいかもしれません。ただ面白いだけではなくて、アイデアが斬新で操作性も良くて世界観が確立しているゲーム。そのようなゲームに出会うと心震えるのですよ。例えば「シムシティ」、例えば「ICO」、例えば「PORTAL」。今までに体験したことのないような手触りがソコにはあるのです。

今回ご紹介したい作品は、それらに比べると小粒だし、やることは単純だし、なによりもプレイ時間が短い。ただ、その空気感は相当に素晴らしいです。ちょっと説明しにくいのですが、なぜか心震えてしまったのだからしかたがない。

その作品の名は「風ノ旅ビト」。
http://www.jp.playstation.com/scej/title/kazenotabibito/
PS3のオンライン配信専用タイトルでして、原題は「Journey」。かつて「flOw」や「Flowery」を作ったthatgamecompanyが開発したゲーム。オンライン配信のみなので注目度も知名度も低く、ある程度ゲームが好きな方でも知らない場合が多いのでは無いでしょうか。ただ、一部ではかなり前評判も高かったのです。気になる。気になる。
評判では、私の大好きな「ICO」っぽいカンジ、との声もあり、これは期待しないわけにはいきません。そしてダウンロードしましたよ。

初っぱなから違和感があります。ダウンロード専売なので、まずマニュアルがありません。何をどうすればいいのか判らない。しかもいわゆるチュートリアル(入門編)もない。何やら広大な砂漠にポツンとプレイヤーらしきローブを着たヒトっぽいものがいる。このヒトを操作しろというのか。
するとコントローラのマークが出て、なにやら振れという。振ると視線が移動する。周りを見回すと、見渡す限りの砂漠の一ヶ所に何やら見える。とりあえずあそこに行ってみよう。サクサクと砂漠を走る。砂山を登る重さ、砂山を滑り降りる軽さ。

砂丘を登り切ったらタイトルが出た。

と、説明はココまで! この後は実際にプレイして確かめて戴きたい。このゲームの面白さは触って初めて判るのです。説明するのは野暮です。その不思議な空気感をご自分で紐解いて下さい。
このゲーム、基本的に文字が出てきません。ほとんど説明されません。「なんかこうなんじゃないかな?」という推測だけが頼りです。こうなんじゃないかな?→ああこうなった→じゃあこうしてみよう、という手探りの連鎖です。
普通のゲームなら、取説を読んでどうすれば良いかを知るし、取説を読まなくても大体どうすれば良いか判るし、チュートリアルをすれば簡単に理解できます。で、触っている内にコツが判って、コツが判ればどうすれば勝てるか、あるいはハイスコアが出るか、または効率よく攻略するか、を考えます。
しかしこのゲームではその常識が通用しません。何しろやれることが数少ない。しかもハッキリとした攻略対象もない。とにかく前に進むことだけが目的です、多分。なぜ前に進むのか。それは「気になるから」です。とにかくこのゲームの原動力は「気になるから」なのです。
あなたの「気になる」感を頼りに、とにかくいろいろやってみて下さい。そこになにか不思議な手触りがあるはずです。お値段は1,200円。ガッとプレイすれば4時間くらいで終わっちゃうかもしれません。値段の感覚は人それぞれですから高いと思うかもしれません。でも、きっと気に入って戴けると思います。

説明はしないと言ったけど、ちょっとだけアドバイスを。
いくつかの章立てになっていますが、それぞれは大きな箱庭になっていますので、急いで進まずに色々歩き回って色々遊んでみて下さい。もちろん「なんか気になるトコロ」をね。
もう一つ。時々、同じような姿をしたヒトが現れて気ままに動き回ります。どうにも動きが気まますぎます。ええ、そうなんです。そのヒトは、世界のどこかで今現在遊んでいる誰かなんです。うわー! これって凄くないですか? ぜひちょっかい出してみたり一緒に歩いたりしてみて下さい。なにか反応があるはずです。そう、今あなたは世界の誰かと一緒に冒険しているのです。誰かは知らないけど。

そんな「風ノ旅ビト」。PS3を御持ちの方にはぜひプレイして戴きたい作品です。

2012/04/09

テシタル地上派 022 米沢の巻

いやあ、ちょっとバタバタしている間にずいぶんと、それはもうずいぶんと更新が滞っていましたね。いや、私も色々と忙しかったのよ。稽古は始まるし映像の仕事とかしたし面白いゲームに出会ったし見に行かなきゃいけない舞台もあったし。それらについてはまた近いうちにご報告しますよ。
その間、デジタル関係にも色々な変化が起こっていますよね。アレとかアレとか。ソレについても早くお話ししたいので、書く書くと言いながら書いていなかった米沢話はサクッと進めてしまいましょう。書く書く詐欺。

あれは二月上旬。冬まっただ中の季節に東北山形は米沢に行って参りました。「十一ぴきのネコ」の山形公演ですね。主催の一方であるこまつ座さんは故井上ひさし先生の故郷である山形県川西町にある川西町フレンドリープラザ(映画「スウィングガールズ」のロケ場所としても有名)での公演が行われることが多いのです。そうそう、この川西町フレンドリープラザには井上先生の蔵書七万冊が寄贈され、その一部(といっても莫大な量)が公開されている「遅筆堂文庫」があります。我々も拝見させて頂いたのですが、その量もさることながら、多分野に渡るその興味の向き方や、さらにはその全てに目を通し、気になるポイントには赤線が引いてあるコトに驚きました。驚異的な読書量です。
そして行われた山形公演。素晴らしい音響効果の劇場、広くて快適な楽屋、そして何よりも会場一杯のやたらノリの良いお客様が印象的でした。たったの1ステージでしたが、実に楽しかったです。
ただね、なにしろ雪が深い。劇場の駐車場にはドカンと雪が積もり、駐車スペースを空けるために除雪された雪がその上に乗っかるものだから、とにかく雪の高さがスゴイ。なので駐車場の一隅には「かまくら」が掘られ、そこが長塚圭史さんの楽屋ということになっていましたよ。

入り口には演目にちなんでネコの雪だるまが作ってありました。スタッフの遊び心です。


劇場は川西町でしたが、宿は米沢駅前でした。やはり山形南部の置賜地方の中心は米沢。独眼竜伊達政宗の生まれ故郷であり、江戸時代は上杉家の領地となった由緒ある街。伊達家や上杉家にまつわる歴史遺産が多くあります。私にとっても初めての米沢ですからできれば色々見て回りたい。しかし時間がありません。なにしろ一泊二日だったから。なので、どうしても行きたかった「上杉神社」にだけ行ってきました。


大きな地図で見る

上杉神社は米沢城趾にある、上杉謙信公を祀った神社。併せて上杉家中興の祖である上杉鷹山公も合祀されています。また、大河ドラマ「天地人」でも有名になった直江兼継にも所縁があり、米沢上杉家にとってはとても重要な神社です。
なにしろ入り口からスゴイ。

毘沙門天の旗印。雪にも映えます。
そしてこちらが本殿。

質素ながら端正な造りです。いかにも上杉家らしいですね。

ただ、参道にあった鷹山公の銅像が、降り積もった雪で雪衣を纏ったようになっていました。

座像だからなおさら雪だるまっぽくなってしまっていますね。ちょっと可愛い。

すぐ横の「伝国の杜」エリアには米沢市上杉博物館があったのですが、さすがに時間が無くて(なにしろ昼本番の日の朝に行ってるから)エントランスホールだけ見に行ってきました。大河ドラマの影響で直江兼継人気が高いんでしょうね、マスコットキャラクターの「かねたん」が飾ってありました。

なお、兼継といえば兜の前立ちの「愛」が有名ですが、これはいわゆる「LOVE」ではなく、「愛染明王」とか「愛宕権現」の一字を戴いているというのが定説です。

なにしろスゴイ積雪でしたから、恐る恐る滑る滑る参拝したのですが、神社とホテルの間の歩道も大変なことになっていまして歩くのも大変です。

この真ん中の細いスキマが歩道。右の雪壁の向こうが車道、左の雪壁は民家。歩道を歩くのも一苦労でした。

そんなこんなの山形の旅。今度は雪のない季節に行ってみたいですね。