2020/07/12

地テシ:158 来週「まこトラベル」始まるよ! の巻

7/10から全国の映画館でゲキ×シネ「けむりの軍団」の上映が始まりました。古田新太と池田成志さんのバディをセンターにおいて、THE時代劇なハズなのになんだか可笑しな可笑しな珍道中になりました。ぜひ大スクリーンでお楽しみ下さい。
それとニコニコ動画では劇団員が過去の作品を見ながらおしゃべりするという企画も配信中です。「レッツゴー! 忍法帖」のDVDがなければ全く面白くありませんが、よろしければこちらもどうぞ。

このように、最近、ニコニコ動画やYouTubeに新感線チャンネルを作って、様々な動画を投稿している劇団☆新感線ですが、なぜだか私の作った旅動画も配信して頂けることになりました。予告編がこちらです。



4/3に幕を上げるはずだった「偽義経冥界歌」福岡公演が中止になり、失意のままに東京に戻り、そこからの外出自粛、非常事態宣言で在宅生活。そんな中、4月から5月に掛けて、このブログで韮山旅行記を書いたのですが、結構長くて三回に渡ってしまいました。
書きながら、長いなぁとか伝わりづらいなぁとか、色々と考えていたのですが、ふと同じような説明を簡潔にしていたなあと思いだしたのです。それはドナインシタイン博士a.k.a.川下大洋さんとの「ドナ研」と「ドナ禁」です。

ドナインシタイン博士が数人のパネラーと共に研究発表をするのが「ドナインシタイン博士の世紀末学会」、その規模をちょっと小さくしてカフェでの開催となったのが「ドナインシタイン博士の禁断カフェ」でして、それぞれに何度かパネラーとして呼んで頂きました。
発表手段はそれぞれのパネラーに委ねられているのですが、私が選択したのはMac用のプレゼンテーションソフトであるKeynoteです。Winユーザーの方にはPowerPoint、いわゆる“パワポ”の様なソフトと言えば判りやすいかもしれません。
次々とスライドを見せていく感覚でプレゼンテーションができるソフトでして、有り体に言えば紙芝居のようなカンジです。このソフトを使って、文字と写真を見せながら研究発表しておりました。これはドナインシタイン博士の手法を参考にしたものです。
自分のタイミングで次々とスライドをめくりながら発表する。この手法はピン芸人さんが用いるいわゆるフリップネタに近いですね。紙のフリップよりも大きく映し出せますからむしろ効果的です。弱点としてはスライドをハッキリ見せるために自分が薄暗くなってしまうことですが、今回はそれが利点になるのではないかと考えました。つまり動画作品として見せるのです。

何か自分が見せたいテーマを決めてプレゼンを作り、それを動画作品として公開する。なんとなくそんなイメージを決めて、発表するアテもないのに短いデモ版を作ってみました。作ったら見てもらいたくなるじゃないですか。で、何の気もなくヴィレッヂ制作部に見て頂いたら、ちょうど新感線チャンネルを作ったので、そこで発表したらいいじゃないですかと言われ、完成版を作ったのですね。それがこの動画です。
公開は7/18(土)ですが、内容としてはこのブログでの韮山旅行記と同じです。約15分の紙芝居にしました。このために動画編集ソフトの扱い方を学んだり、音楽を作ったりもしました。長期のステイホームだからこそできた企画です。無料ですので、お暇な時にでもご覧頂けますと私が喜びます。7/18(土)配信ですよ!

それと、7/7にNintendo Switchでリリースされました異色の脱出ゲーム「Superliminal」がかなり面白かったです。7/14まで割引価格で販売されていますので、手頃な難易度のファーストパーソンパズルをお探しの方は是非。特に名作「Portal」が好きな人には無条件でオススメですぜ!
本当はここに公式の紹介動画を貼りたいトコロなんですが、割と解き方のヒントが出ちゃっているので載せません。上記公式のプレイ静止画を見て気になる人は、何も見ずに買って!




2020/07/05

地テシ:157 <6/30OA対応版>またしても音楽の話を の巻

さあ、SSP動画まつりに続いての新企画「劇団員のおしゃべり企画」の配信が始まりましたよ! 第一回は「17年後に『レッツゴー! 忍法帖』見てみた」ですぜ。高田聖子、河野まさと、中谷さとみに加えて私も見てみました。今回は一週間に限らずにしばらくは見られるようですが、手元に『レッツゴー! 忍法帖』のDVDがなければ何のことやら全く判らないコトになってしまいますのでお気を付けて! 無料の冒頭五分はこちら。



ていうか、ニコニコに続いてYouTubeにも新感線チャンネルを持ったのね。ということは! チャンネル登録お願い致します!

さらに! WOWOWさんの企画「劇場の灯を消すな!」企画第二弾(ちなみに第一弾は7/5オンエアの松尾スズキ×Bunkamuraシアターコクーン編)が劇団☆新感線×サンシャイン劇場編になることが発表されましたね。8/1オンエアです。私も参加しますよ!

さて、去る6/30にFm yokohamaの「深夜の音楽食堂」がオンエアされました。松重豊さんが店長を務める、素敵な音楽を流してくれる食堂です。6/30のゲストは私でして、といっても横浜のスタジオには出向かずに、電話での来店となってしまいました。ラジオだからお顔は見えなくても構わないんですが、そこはそれ、やはりPCでのオンライン会議ソフトで繋がった状態で収録は行われました。だって、顔が見えた方が喋りやすいじゃないですか。

毎回、松重さんだけではなく、Fm yokohamaのスタッフさんも巻き込んで音楽談義に花を咲かせる収録前後なのですが、今回はリモートでの収録というコトもあって、あまりお話しできなかったのが残念です。その替わりと言ってはなんですが、私が今回ご紹介しようかどうか迷った候補曲のリストを事前にお送りしておいたので、それを見ながら色々とお話しできたのが楽しかったですね。
放送時間の都合上、ご紹介できる曲数は限られておりますから、毎回相当に迷っているのですよ。で、今回は昨年に呼んで頂いた時のと合わせて候補曲のプレイリストを作り、それを事前にお送りしておいたのです。
音楽のサブスクリプション(定額聞き放題)サービスであるSpotifyではリスナーが自由にプレイリストを作って公開できるのですが、私のSpotifyアカウントのプレイリストも公開して、誰でも聴けるように致しました。



Spotify会員の方は全部、会員でない方も短時間ずつお聞き頂けます。
藤原さくらさんの「赤」からRai Thistlethwayteの「Chase the Clouds」までが2019年出演時の候補曲ですが、これはかなり絞った段階でのリストなので9曲と少なくなっております。それ以降の2020年出演時の候補曲は多めになっていますね。いずれも私が好きで、松重さんがお好きそうで、しかもここ数年の新曲を中心にしております。

そんな曲たちの中から、6/30の放送でオンエアされた曲の解説をしておきましょう。もっとも「深夜の音楽食堂」公式HPでもすでに詳しく解説して頂いておりますがね。

一曲目はずっと真夜中でいいのに。の「勘冴えて悔しいわ」(album「潜潜話」収録)です。



2018年にYouTubeに投稿したMV「秒針を噛む」から火が付いてメジャーデビューしたという異色のバンド(バンドではないけど)です。2017年に番組に呼んで頂いた時にご紹介したバンド・カラスは真っ白(残念ながら解散してしまいました)にちょっと似ているんです。不思議なバンド名、パンキッシュなのにポップな楽曲、そして演奏がやたら上手い(打ち込みかもしれないけど)。

番組では追加のオススメ邦楽としてエドガー・サリヴァンさんの「春URARA」や竹内アンナさんの「ALRIGHT」を上げていますが、もう一曲、Dokkoise Houseさんの「Wednesday」もいいんですよ。YouTubeにはないので、別の曲のMVを置いておきますね。



このDokkoise Houseさんはいわゆるシティ・ポップ系なのですが、シティ・ポップにありがちなアーバンな感覚よりも郊外っぽいサバービアな素朴さが勝っているところがとても魅力的です。

二曲目はBrasstracksの「Everything I Got - Live」(album「Before We Go : Live From Capitol Studios」収録)。



このBrasstracksというのはニューヨークを中心に活躍する、ドラムとトランペットという異色の二人組プロデュースチーム。この曲はスタジオライブなので生演奏ですが、打ち込みバリバリのエレクトロも作っています。

この曲を選ぶ前に、最近話題のギタリストであるCory Wongの「Golden」を選んだら、既に番組で紹介していたとのことで選び直したのです。



それともう一曲悩んだ曲がありました。それはGideon King & City Blogの「Go Along to Get Along」(single「Love Knot」収録)。



この曲も含めて全て松重さんのお気に召しましたようでホッとしました。

この、オススメしたい曲を選んでいる時間が本当に楽しいんですよ。私は好きだけど松重さんの好みには合わないなとか、ちょっと有名すぎるからやめようとか、イントロの掴みがちょっと弱いなとか、莫大なオススメ曲から振り落としていく作業が切ないながらも充実した時間をもたらすのです。

最後の曲は松重さんの選曲でLianne La Havasの「Paper Thin」(album「LIANNE LA HAVAS」収録)。



ロンドンを中心に活躍するシンガー・ソング・ライターでして、ソウルなんだけどフォーキーだったりジャジーだったりアーシーだったり、様々な面を見せてくれるキュートな女性です。
最近は自宅での弾き語り動画をYouTubeに上げてたりしているのですが、歌も上手いけどギターも巧い!

そして、「深夜の音楽食堂」さんも公式のプレイリストを作っていて、こちらも公開されています。今まで番組でかけた曲を順次まとめているんですって。もちろん私の好きな曲も一杯で、私の知らない曲も一杯で、聞いていてとても楽しいんです。



6/30のオンエアは過ぎてしまいましたが、radikoなら一週間は視聴できますので、まだの方は探してみて下さい。次はいつ呼んで頂けるんでしょうね。その時のために松重さんのお好きそうな曲を探しておきたいと思います。





2020/06/28

地テシ:156 少しでも説明してしまうと面白さが損なわれてしまうゲームの巻

6月も下旬になりますと、4月5月に立てられた企画が徐々に煮詰まっていくワケでして、コレまでにもお伝えした通り、様々な企画がどんどん形になっていっております。驚くようなスピードで。
ですので、ちょっと私関連のニュースをまとめておきましょう。
まず、SSP関係では「レッツゴー!忍法帖」を見ながら喋る企画と、「神州無頼街」のTシャツ、そしてそのオマケに付く「新感線めぐり」



映画館ではゲキ×シネの五右衛門シリーズなどのセレクション上映からの7/10からは「けむりの軍団」です。全国でご覧頂けますよ。



そして6/30深夜にはFm yokohama「深夜の音楽食堂」のゲスト。それと、昨年末に出演致しました「明治座の変 麒麟にの・る」の7/5のオンライン上映会も発表されました。明治座さんの食堂から生中継なんですって。私は参加しませんが、気になる方は是非。
それと、次号の「えんぶ」には私のロングインタビューが掲載されますよ。7/9頃発売予定です。
これらの他にもまだまだ様々な企画が進行中ですのでお楽しみに。



さて、前々回はPS4の「Detroit: Become Human」をプレイして頂きたいという話を書きました。「詳しく説明してしまうと面白さが損なわれてしまう」ゲームですよ。
そして、今回書くとお約束したのが「少しでも説明してしまうと面白さが損なわれてしまう」ゲームについてです。

まあね、「詳しく」説明してしまうと面白さが減ってしまうゲームというのはたくさんありますよ。個人的にプレイしていて展開に驚いたのがNINTENDO64の「ワンダープロジェクトJ2」とか、Xbox360やPCの「Portal」とか。システムも良く出来ている上に、ストーリー展開が凄い! でも、もちろん詳しくは話しませんよ。

しかし、「少しでも」説明してしまうと面白さが減ってしまうゲームなんて中々ありません。トコロが出逢ってしまったんです、そんな不思議なゲームに!

ええと、その前に「そこそこ話してしまうと面白さが損なわれてしまう」ゲームを二つご紹介いたしましょう。どちらもNintendo Switchで遊べます(どちらもPC版もありますけど)。

一つ目は以前にも書いた「Baba Is You」。アイデアが素晴らしい。基本的には古典的名作「倉庫番」のように、主人公が邪魔なモノをどけてゴールに辿り着けばクリアです。ただ、この「主人公」も「邪魔なモノ」も「ゴール」も変えてしまえるのが本作の凄いところ。
ええと、説明が難しいので、Nintendo公式チャンネルの紹介動画を見て下さい。



このように、ルールそのものを変えてクリアを目指すのです。「叙述式パズル」といっても良いかもしれません。ただ、この動画以上の説明をしてしまうと、思考パズルの面白さが減っちゃうんですよね。
超ローファイで可愛いグラフィックで描かれる、超シンプルで超新鮮なシステムの超難しいパズル。私もまだまだクリアにはほど遠いですが、チマチマと進めております。正直に言ってかなり難しいです。でも、解法に気付いた時の興奮が凄いんですよね!
一つの面で行き詰まって、30分くらい試行錯誤して諦めて、っていうのを三日ぐらい繰り返したところで、ハタと閃いてクリアする、みたいなトコロは名作「ICO」以来の難易度です。

もう一つは「WHAT THE GOLF?」。これはもうシンプルにゴルフゲームです。ゴルフが嫌いなスタッフが作ったゴルフゲームです。ん? ゴルフゲーム? いや、違うな。ええと、これも説明が難しいのでNintendo公式チャンネルの動画をご覧下さい。



もう無茶苦茶でしょ。パットゴルフゲームの皮を被った壮大なおふざけゲームです。なんでもありなんです。簡単操作で色んな体験ができます。しかも様々な有名映画のパロディや有名ゲームのオマージュが次々と出てきます。ゲームに詳しい人ほど面白いと思います。もはや大喜利ですよ。笑いを取りに来ているとしか思えません。
確かに私も深夜にプレイしながら何度も声を上げて笑いました。でも、笑いだけじゃないんです。しっかりとした謎解きや着実な攻略も必要になるけど運で上手くいったりするという、スルメのような作品です。テンポが良いので中々やめ時が見つからずに、ついつい次々進めちゃうんですよね。でも、こちらもまだまだ終わりが見えませんので、まだまだチマチマ進めていますよ。どことなく名作「塊魂」を思い出させます。

「Baba Is You」は論理的にじっくり考えて何度もトライしていくタイプで、「WHAT THE GOLF?」は直感でガンガン進めて偶然も味方するタイプ。どちらもいわゆる「インディーズゲーム」という、小規模チームで作ったアイデア重視の小規模作品ですが、その分お値段が安いのでオススメですよ! 今、Switchのインディーズゲームが熱い!


さて。いよいよ本題の「ちょっとでも説明してしまうと面白さが損なわれる」ゲームをご紹介いたしましょう。ええと、そういうワケなのでほとんど説明しませんよ。
それはiOS(iPhoneとiPad)でしかリリースされていない「Song of Bloom」。大雑把に言えば謎解きゲームです。
ただ、何が謎なのかすら始めは判らないんです。どうプレイすればいいのかすら判らない。
開始という文字をタップすると、なにやら謎めいたポエムと動画が始まり、文章の終わりをタップするごとに次々と謎なポエムが連なります。この間、約30秒。終わったら左上をタップするとその動画が繰り返し再生されます。



もうこの段階で謎だらけです。
ここで投げ出すか、いや待てこれ何だと燃えるか。

アハ体験というのがありますよね。なかなか気付かないけど、気付いてしまうと瞬時に全てを理解してしまうような不思議な体験。このゲームには様々なアハ体験が詰まっています。
とりあえず、色々やってみて下さい。何度も詰まると思いますが、とにかく色々やってみて下さい。その度にパァァァァ! と広がるアハ体験ができますよ。この快感が凄い!

結構引っ張ったわりには簡素な説明ですみません。ですが、詳しく説明しちゃうと面白くなくなっちゃうんだから仕方ない。ただ気をつけて。「Song of Bloom」で検索しちゃうと色んなネタバレが出てくるからね! もし、本当にプレイしてみたいなら、何にも調べずに以下のリンクからダウンロードして下さい。たったの250円だから!

Song of Bloom

そんなこんなのゲームをプレイしたりしなかったりの日々。もう一度書いておくけど、Fm yokohamaの「深夜の音楽食堂」は6/30の深夜24:30からだからね。radikoを使えば全国から聴けますよ。





2020/06/23

地テシ:155 「レッツゴー!忍法帖」を見てみよう の巻

「少しでも説明してしまうと面白さが損なわれてしまう」ゲームについて書くはずでしたが、今日は最近の新感線関係の動きをご報告。

様々な企画を同時進行している新感線・シンパシー・プロジェクト《SSP》ですが、私も関わっている企画『17年後に「レッツゴー!忍法帖」見てみた』が発表になりました。高田聖子・粟根まこと・河野まさと・中谷さとみの中堅4人が17年前のネタモノ作品である「レッツゴー!忍法帖」のDVDを見ながら、あーだこーだ言っている動画です。この動画を聞きながらDVDを見て頂くと面白さが1.2倍くらいになります。多分。いつものニコニコ動画の新感線チャンネルにて7/4から!

そして、コレに連動してイーオシバイドットコムにて「レッツゴー!忍法帖」DVDが7/3まで1,000円オフです! まだDVDをお持ちでない方は是非この機会に! 阿部サダヲさんが飛び回り、入江雅人さんがキレよくツッコみ、馬渕英俚可さんがおキャンにお転婆し、そして池田成志さんがひたすらボケ倒すという怪作です。劇団員たちもほぼ全員出ている上に、みんな若い!



この「見てみた」シリーズは、好評ならばまだまだ続くかもしれません。ですので、もし面白かったらその旨をどこかにお伝え頂ければ幸いです。

あと、公演中止となってしまった「神州無頼街」のTシャツも販売致します。公演は中止になっちゃったけどTシャツは作っちゃいました! 8/5発売ですが既に予約は始まっています。デザインは二種類で、どちらもカッコイイ! 今しか手に入らない幻のTシャツですぜ! ていうか、私も欲しい! もらえるのかな。もらえなかったら買っちゃおうっと!

えー、世間が新しい日常を取り戻していく中、やはり劇場などでのライブイベント関係はまだなかなか難しい状況です。それでも皆様に楽しんで頂けますように、関係者一同頭を捻っております。
まだまだ様々な企画が進行中ですのでどうぞお楽しみに!




2020/06/21

地テシ:154 「Detroit: Become Human」をプレイして頂きたい の巻

四週に渡ってお送りして参りました「SSP動画まつり」は終了致しましたが、6/19からは全国の映画館でゲキ×シネのセレクション上映が始まり、7/10からは「けむりの軍団」の上映も始まります。次は映画館でお楽しみ下さい。

さて、ステイホームが推奨された今年の4月と5月。この6月に入ってから徐々に忙しくなってきた私ですが、4、5月の頃は仕事も無く、ステイホームしながら部屋の片付けと自宅フィットネスと、そしてゲームを主にやっておりました。
ゲームといいましても、主にプレイしていたのはコレまでに書いてきたおウチでゲームでフィットネスなアクティビティのゲームに費やす時間が長かったのですが、いわゆる普通のゲームも色々と楽しんでおりました。

でね、そんな楽しいゲームの中、今日ご紹介したいのが「詳しく説明してしまうと面白さが損なわれるゲーム」についてです。

内容について詳しく説明してしまうと面白さが損なわれるゲームというのはママありますよね。例えば推理アドベンチャー。これはもう推理小説と同じですから、真犯人を教えるなんてのはもってのほかとしても、捜査のヒントを与えられるだけでも大きなマイナスとなる場合があります。「意外な人が真犯人」と言われただけでもグッと面白さが減ってしまいます。
あとは、ストーリー展開が面白いロールプレイングゲームなどでも同様でしょう。主要なキャラクターが死んじゃうとか途中で裏切るとか、そういうのを先に言われてしまうと驚きが無くなってしまうんですよね。できるだけ先入観の無い状態でプレイするのが望ましい。
そういったストーリー上の仕掛けというか驚きの大きい作品は名作として語り継がれているので、今ではほぼ公然の秘密みたいになっていたりしますね。例えばファミコン時代で言えば「ポートピア殺人事件」とか「女神転生II」とかが有名ですかね。やっぱり言えば言うほどマズイな。




最近プレイしたPS4の「Detroit: Become Human」も同様のタイプです。リアルなグラフィックで描かれる、アンドロイドが生活に欠かせなくなっている近未来でのアドベンチャーゲーム。三体のアンドロイドを順番に操作しながらストーリーが進んでいきます。
美麗でオシャレなグラフィックではありますが、ストーリーの要所要所で選択肢が示され、その選択によってストーリーが変化していくというシステムは往年のテキストアドベンチャーを彷彿とさせます。

テキストアドベンチャーとは、かつてパソコンゲームの黎明期に興った叙述ゲームで、文字のみで状況が説明され、それに対して簡単な文字コマンド(GO WESTとかTAKE BOOKとか)でアクションをしてストーリーを進めていきます。プレイできる小説といった感じですね。簡素なグラフィックが添えられている場合もあります。チュンソフトの「サウンドノベル」シリーズもこの系譜上にあります。
同様にテーブルトークロールプレイングゲーム(TTRPG)も思い出させます。TTRPGはいわゆるテレビゲームではなく、紙と鉛筆とサイコロなどを使ったアナログゲームでして、数人のプレイヤーと一人のゲームマスターがルールブックに則った行動をしながら冒険していきます。宝箱を開けたり落とし穴に落ちたり敵と戦ったりといったアクションを、サイコロなどで成否を判定しながらゲームマスターがジャッジして進めていくのですね。このシステムを書籍上で再現した「ゲームブック」というのも存在しました。

要するに、この「Detroit: Become Human」は最先端の美麗なグラフィックで彩られてはいますが、感触としては実にアナログな印象のゲームです。自分の操作するアンドロイドの行動を選択してストーリーを展開していき、時には時間制限のあるボタン操作で成否が判定されるという、今風の表層ながら古風なシステムも感じられるという面白い構造になっています。

でね、この「D:BH」なんですが、始めは敬遠していたんですよ。今どき選択肢を選んでいくだけのアドベンチャーゲームなんて、みたいな偏見があったのかもしれません。ですが、このゲームがPlayStation Plusのフリープレイ(会員だけが無料でダウンロードできるゲーム)になった時に思いだしたのです。かつて選択肢を選んでいくだけのアドベンチャーなのに、夢中になったゲームがあったことを。

それはチュンソフトの「街 〜運命の交差点〜」。1998年にセガサターンで発売されたこのソフトは、後にPSやPSPにも移植され、コアなファンを輩出したことでも有名です。
8人の主人公が渋谷で過ごす5日間を描いた作品で、小説を読むようにストーリーを進めていくと選択肢が現れ、そこでの選択がその主人公の行動を決めるだけでなく、他の主人公の運命をも変えてしまうというマルチフラグメントシステムを採っておりました。
なので、ある主人公のストーリーを進めているとどうしても手詰まりになってしまうのです。そうなったら、別の主人公に切り替えて進めてみる。すると、新たな展開が起こって先に進めるのです。このザッピングシステムも革新的でした。
主人公が8人もいるので、それぞれの作風が違うのも面白い。サスペンス調だったりコメディ風だったり、様々なテイストでプレイヤーを飽きさせません。
エンディングを迎えても、隠しシナリオが現れたり、他の選択肢も試してみたくなったりして、繰り返しプレイしてしまうのです。もうしゃぶり尽くしたのにSS版の後にPS版もプレイしてしまったほどハマったゲームでした。

そこで「D:BH」ですよ。このゲームでもかなりシリアスな選択肢が随所にあり、しかもそれぞれの選択が他の主人公に影響を与えたりもするので、選択にも熟慮が必要になります。これは「街」好きには堪りませんよね。
とはいえ、「街」のようなザッピングシステムで巻き戻すのが主眼ではなく、選んだ結果に則ってストーリーはガンガン進みます。フローチャートシステムを使えば、ちょっと戻ってプレイし直すコトもできるのですが、そうしようとするとシステム側から「ストーリーが変わってしまいますよ」と、やんわりと止められるんです。そんなこと言われたら、まあ、ここはこのまま進めようと決意しますよね。
正直な話、「ココであっちの選択肢を選んでいたらどうなったんだろう」と思い続けながらプレイしていました。こりゃぁ「街」の時と同じように、エンディングの後に何度もプレイしてしまうなぁ、と。

ええと、結論から言いますと、私はこのゲームを一度しかプレイしていません。ええ、やり直さなかったんです。

ゲームのエンディングでスタッフクレジットが流れる中、ゲーム画面がフラッシュバックするのですが、そこには私が見たことの無いシーンがたくさんありました。クリア後にネットでプレイレビューなどを検索してみると、それはそれはたくさんの多彩なストーリーが出てきて驚きました。こんなにたくさんの分岐ストーリーがあるのか、と。
ゲームのオープニングでナビゲーター役であるアンドロイドのクロエ(初めてチューリングテストに合格したアンドロイド)が操作を教えてくれるのですが、クロエが言う、このゲームのメインコピーでもある「これは、あなたの物語」というセリフがあります。このセリフが全てを物語っています。

プレイしながら、アンドロイドたちはどのような選択をするのがベストだろうと考えていました。しかし、途中から「自分ならばどれを選択するだろう」という気持ちに変わっていったのです。まさに「自分の物語」をプレイしていったのです。
その結果は自分の物語ですから受け入れるしかありません。選択を選び直して別のストーリーをプレイしても、それは自分の物語ではありません。だって選び直しているんですから。
そう思ってしまったら、なんかこう、プレイし直す気持ちでは無くなってしまったんですよね。このストーリーを受け入れようと思ったのです。

たまたま私は比較的グッドな結末を迎えたようですが、どうやら、それはそれは多彩なエンディングが用意されているようです。かなり悲観的なエンディングもあるようなんですね。
でも、私にとってはこのゲームのエンディングはコレなんだと思ったら、コレでいいやと思ってしまったのです。

ゲームの特典映像として、メイキングムービーが収録されていました。三人の主人公の為に、三人の作曲家がそれぞれの担当の音楽を作ったとか、複雑なストーリーを創作するために多大な苦労を払ったとか、とても興味深い裏話が語られていましたが、私が一番面白いと思ったのはモーションキャプチャーを使った各キャラクターの収録風景でした。それぞれのキャラクターが、それぞれを演じた役者さんにそっくりだったんです。モデリングだけではなく、動きも表情も役者さんに限りなく寄せて作られていました。
それを見た時に、この作品に対する制作陣の真摯な姿勢と苦労がハッキリと見えて、それを尊重する気持ちになったのです。

好きな映画なら、そのストーリー展開が自分の好みと違っても納得できますよね。「そうなっちゃんたんだ、でも面白いよね」という気持ちになりますよね。そんな気持ちになっちゃったんです。これが、私にとっての「D:BH」なんだってね。
だから、これでいいんです。これが私の「D:BH」なんです。制作陣の意図とは違うかもしれませんが、私はプレイし直しませんでした。多彩な選択肢を体験することはできませんでしたが、これでいいんです。楽しみながら結末に満足しました。ちょっと不本意ではありますが、これが結末なんだと納得しました。

そして「D:BH」は私の記憶に強く残る作品となりました。今の私の願いは、より多くの人に「D:BH」をプレイして頂き、より多くの結末を紡ぎ出して欲しいというコトです。こんなコトならフリープレイじゃなくて、ちゃんと買ってプレイすればよかった。それくらい価値のあるゲームだったのです。

「D:BH」の発売日は2018年5月。二年前の作品です。そのプレイレビューを二年後に投稿されて、しかもプレイを薦められても困ると思いますが、面白かったんだからしょうがない。PS Storeには体験版もありますので、是非。


でね、「詳しく説明してしまうと面白さが損なわれるゲーム」はたくさんあるのですが「ちょっとでも説明してしまうと面白さが損なわれるゲーム」というのは中々ありません。でも、そんな繊細な作品にも出逢ってしまったのです。ええと、それについては次回。



それと、今後の仕事についてもいくつか発表されました。
まずはSSP関連で、グッズを購入して下さった方に差し上げるオマケとして、かつての新感線ファンクラブ会報というのが復活することになりました。私が編集長を務めております。詳しくはこちら
それと、松重豊さんが店長を務めるFm yokohamaの番組「深夜の音楽食堂」にリモートゲストで出演することも発表されました。三度目の出演ですが、毎度本当に楽しい音楽談義ができて幸せな時間でした。神奈川近辺でなくてもradikoなどのアプリなら全国から聴けますよ。6/30の深夜です。どうぞよろしくお願い致します。