2019/04/21

地テシ:121 <4/16OA対応版>今回も音楽の話を その一

「偽義経冥界歌」松本公演も間もなく終了。大阪から金沢、松本と桜前線を追うように移動してきた我々ですが、満開の桜に祝われるように公演を打ち、桜が散るように終わっていきます。これもまた出演者に藤原"さくら"さんがいるからでしょうか。来年の公演も桜の頃に終わりますよ。


さて、先日オンエアされましたFm yokohama「深夜の音楽食堂」の話をしましょうか。二年前に出演させて頂いた時も番組の補足説明をしたのですが、今回もちょっとご説明を。

まずは偽歌にもご出演して頂いている藤原さくらさんの「赤」(album「PLAY」収録)。ええと、正直言いまして今回共演させて頂くまで作品を拝聴したことがなかったのです。なので、慌てて「PLAY」というアルバムを買って、一番気に入ったのがこの「赤」という曲。こういう機会で聴く音楽の幅が広がるのは嬉しいモノですね。

番組でも言っていたように、スウィングビートにブルーノートが印象的に使われていて、全体的にブルージーな雰囲気のナンバー。これがまたさくらさんのスモーキーな声に合っていて好きな曲です。



ドラムのゴーストノートを含めたダルなタイム感、アコースティックベースの深い音、ウーリッツァーのハネるリズム、物憂げなアコースティックギター、きらびやかなエレクトリックギター。素敵だと思ったら、バックミュージシャンがSPECIAL OTHERSとSOIL&"PIMP" SESSIONSとH ZETTRIOじゃねえか。好きなバンドばかりだ。そりゃ好きだわ。
劇中では、さくらさんには歌だけでなくギターも弾いて頂いているのですが、これがまた巧い。いや、プロにいうのも失礼なのですが、毎ステージ感心しています。音がつぶれないんだよね。普通のアコースティックギターよりも小さめのトラベルギターなのですが、見事に弾きこなしています。これもまた聴きどころですよ。

二曲目は松重さんオススメのトム・ミッシュ「South of the River」(album「geography」収録)。デビューアルバムなのにこの完成度! ロンドン出身のこの若いアーティストは昨年大注目されましたね。ギターも巧いしバイオリンも素敵。マルチプレイヤーなのです。
実はこの曲、ずーっとコード進行は同じなのにベースのフレーズがどんどん変化していくのが格好いいので、ちょっとベースラインに注目して聞いてみて下さい。



そして三曲目がレキシさんの「狩りから稲作へ feat.足軽先生・東インド貿易会社マン」(album「レキツ」収録)ですよ。かつてフジテレビの深夜にオンエアされていた「アフロの変」という情報番組のMCがレキシさんとダイノジの大谷さんで、様々なカルチャーについて新しいトレンドを紹介していてくれて大好きだったのです。特に音楽については随分と参考にさせて頂きました。この番組で知ったバンドも多いのです。
レキシさんは様々な歴史上の人物や事件などをモチーフに曲を作る方でして、歴史好きの私も楽しめる上に曲もカッコイイ。そんな素敵な楽曲集めて舞台化した愛のレキシアター「ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ」が面白くないワケがない! てなワケで舞台も実に楽しかったです。みんな芸達者だなあ。
知り合いが多かったのも嬉しい。ウチの高田聖子姐さんはもちろん、山本耕史さん、八嶋智人くん、乃木坂46の井上小百合さん、山本亨さん、そして代役侍の前田悟さんに演出の河原雅彦さんですからね。やっぱり河原リーダーはこういうポップな作品を作るのが上手いなあ。



この曲についてもちょっと。これも4コードのループでずーっと同じなのですが、ビートが気持ちよすぎてずっと聞いていたくなります。実際、仕事のBGMとしてずっとリピートで聞いている時があります。やはりファンクはこうでなくちゃ。レキシさんがかつて所属していたファンクバンド「SUPER BUTTER DOG」も好きなのですが、ファンクのシンプルなコード進行の繰り返しってなにやら人間の根源的な興奮を揺り動かすカンジがありますよね。
この曲のドラムなんですが、一番ドラムっぽいクラッシュシンバル(パーンッってインパクトのあるシンバル)があまり使われていなくて、ハイハット(二枚のシンバルを向かい合わせた構造で、足ペダルで踏んでクローズにして叩くとチッチッと短い音がする)を足ペダルで踏まずにオープンで叩いて、小節の頭に「チーッ」というインパクトを入れているのです。これがまたカッコイイ。

今回、私は邦楽から二曲選ばせて頂きました。実は「演劇と音楽」というテーマで選んだのですが、それについては次回のオンエアでも話していると思います。ていうか、話したいことが多すぎて、でも松重さんとのお話も楽しくて、なかなか喋り足りない30分なのですよ。収録の前後にも同じくらいの量を松重さんやスタッフさんと話していますからね。是非ともまたゲストに呼んで頂きたいです。
次回は4/23深夜24:30からですよ! 洋楽が中心になります。次回も是非ともお聴き下さいませ。

2019/04/16

地テシ:120 再びの松本公演と再びの音楽食堂の巻

久しぶりの新感線旅公演である「偽義経冥界歌」、次は松本に参ります。私個人で言えば2013年の「ショーシャンクの空に」以来6年ぶりではありますが、新感線公演としては2006年の「メタルマクベス」初演以来、実に13年ぶりの松本公演となります。
会場であるまつもと市民芸術館主ホールは日本でも数少ない「四面舞台」構造を有した素晴らしい劇場です。来年春まで続く偽歌ですが、今年版はこの松本が最後。橋本じゅんさんと新谷真弓さんはここで最後となりますので、気になる方は是非とも見届けにお越し下さい。新宿から特急あずさで約二時間半です。高原ならではの清涼な空気、国宝五天守の一つである松本城、丁度今が盛りの桜、そして本場信州蕎麦など魅力満点の松本にぜひお越し下さいませ。劇場は松本駅から大通りを東に真っ直ぐ歩いて約10分ですよ。

と、偽歌の宣伝はここまで。今日はもう一つ宣伝したい事柄があります。松重豊さんがDJを務める音楽番組であるFm yokohamaの「深夜の音楽食堂」に私がゲストとして出演させて頂いたのは2017年新春。あれから二年経ちまして、再び出演することができました! 憧れのFMの音楽番組ですよ! 嬉しいじゃないですか!

オンエアは4/16(火)と4/23(火)の深夜24:30〜25:00。深夜のオンエアではありますが、radikoのタイムフリーというサービスを使えば放送後一週間ならいつでも聞くことができます。しかもプレミアム会員になればエリアフリーで全国どこからでも聞けますよ。
松重さんはちょっと顔は怖いけど、実はとても優しい紳士です。そして私と音楽の趣味が似ていて、お会いするたびにオススメ音楽を教え合う間柄なのです。そんなおじさん二人が好きな音楽について語り合う三十分。
二年前の出演の時には番組の補足としてこんなこんなこういった記事も書きました。今回もオンエア後にはそういった記事も書こうと思っていますが、まずは是非とも番組をお聴き頂きたい。松本公演直前ということで、偽歌についても語っておりますよ。そのあたりもお楽しみに。

ええと、取り急ぎ、今回は忙しすぎてまだ登城できていないので、昔撮った国宝松本城を。


2019/04/02

地テシ:119 「偽義経冥界歌」と金沢の巻

大阪公演が無事に終わりました「偽義経冥界歌」ですが、4/2〜7には金沢に参ります。ていうか、もう参っております。数日前から参っております。現在舞台稽古中でして、その合間には金沢の美味しいモノとか食べたりしています。ただ、食べているのがカレーとかラーメンとかばかりなのは内緒ダゾ。

ええと、金沢は結構寒いですよ。昼間はそうでもないのですが、やはり朝晩はかなり冷えます。また雨も多いので、遠方からいらっしゃる方々は天気予報などを参考に、傘や上着をご用意下さいませ。
北陸新幹線が開通しておりますので、東京から約二時間半で来られます。大阪からでもサンダーバードで約二時間四十分。そう、意外と近いのですよ。客席も見切れが少なくて見やすい印象です。そして大阪公演よりも収容人数が少ない分、舞台と客席が近く感じられると思います。
それと、上演時間もちょっと短くなっております。大阪公演をこなす間に短くなったのよ。シーンの繋ぎを工夫したり、芝居のテンポが上がったりして10分くらいは短くなっているのではないでしょうか。正式な上演時間は新感線公式さんから発表されると思います。

私自身、金沢を訪れるのは二度目。とはいえ、一度目の1999年「西遊記」の時は公演も一日だけでしたし、とにかくタイトなスケジュールでしたので何も覚えていないんです。全くなぁんにも。観光はおろか、何か美味しいモノを食べた記憶もありません。
ですので、今回が初の金沢みたいなもんです。まあ今回もタイトなスケジュールではあるのですが、みっちり舞台稽古をしますから結構な日数を金沢で過ごしております。僅かながらも街を散策したり観光したり美味しいモノ(カレーとかラーメンとか)を食べにいったりしています。
実は、金沢という街は大都市でありながら第二次世界大戦で空襲を受けていないのですね。なので古い街並みも建築もキレイに残っており、ちょっと歩くだけで素敵な古民家とか洋館とかに出会えます。街歩きを趣味としている私にとってはまさにうってつけの街。
なのですが、自由時間は限られており、ハードな舞台稽古と本番が控えておりますので、そうそう散策もできません。それでも僅かな自由時間を利用して、ちょっとは街歩きしております。余裕があればそんな金沢の街紹介を書ければいいな。余裕があればだけどね。
取り急ぎ、「石川四高記念文化交流館」の写真を。明治二十六年に建てられた旧制第四高等学校の本館がそのまま保存され、中に入って見学することができるんです。
















とかいう原稿を書いている間に気がついたらもう初日直前。ていうか、もう今日(4/2)じゃないですか! エイプリルフールに興じる間もなく、新元号「令和」に反応する間もなく、バタバタとみっちりと舞台稽古をしておりました。
そして公式さんからも「休憩込みで三時間三十五分」という上演時間が発表されました。ほらね。十分ほど短くなっているでしょ。ほとんどカットせずにこの短縮は驚異ですね。

そんなこんなで歴史の街・金沢でお待ちしております。ただ、劇場がちょっと遠くて金沢駅からバスで20分ほど掛かることにはご注意下さいね。詳しくはこちらをご参照下さい。そして、今日はみぞれ交じりの雪も降りました。服装にはお気を付けて。じゃ、そういうことで!

2019/03/08

地テシ:118 「偽義経冥界歌」と「ふるえて眠れ」始まるよ!の巻

始まるよ! 「偽歌」始まるよ! 3/8から大阪で始まるよ! 金沢と松本にも行くよ! 来年は東京と博多にも行くよ! でも目の前の大阪から気をつけて行くよ!

公式さんから、休憩含めて三時間四十五分(3/7現在)という発表がありました。例によって長いですが、かなりハラハラできる展開ですのでどうぞお楽しみに。そして終わるのが遅いから、終電が気になる方はカーテンコールとかぶっちぎって急いでお帰り下さいね。家に帰るまでが偽歌です。

そして、一日早く3/7に大阪で幕を開けたのが、私が宣伝美術を担当しているプロジェクトKUTO-10さん。「ふるえて眠れ」は3/7〜10が大阪のウイングフィールド、3/14〜17が東京の下北沢シアター711です。
私が昔お世話になっていた蟷螂襲さんの作、いまだにお世話になっているわかぎゑふさんの演出でして、出演者もよく知っている人達ばかり。詳しくはこちらを
https://plaza.rakuten.co.jp/kuto10/

面白くなりそうですが、私も自分の公演とどカブリでして行けそうにありません。どうぞ皆様におかれましてはどちらも気にして頂ければ幸いです。
ちなみに今回のチラシ表面はこんな感じ。



タイトルロゴにこだわってみたけど読みにくいと評判です。「ふるえて眠れ」と読みます。どうぞよろしくお願い致します。

2019/02/27

地テシ:117 「偽義経冥界歌」が近づいてきたの巻

二月ももう終わりじゃないですか! なぜですか! 小の月過ぎませんか! その分、稽古日数が少ないじゃないですか! ええと、はい。3/8に大阪から幕を開ける「偽義経冥界歌」の稽古も大詰めです。もう大変です。殺陣を作っても作っても終わりません。アクション監督の川原さんもアクションメンバーも、そして闘う人達も大変ですよ。ま、私はほとんど逃げ回っているだけなんですが、逃げる回数が多すぎて混乱するほどなんです。最後までなんとか無事に逃げ切りたいと思います。

今作は久しぶりの中島かずき新作のいのうえ歌舞伎、しかも初めての鎌倉時代モチーフ。いのうえ歌舞伎初主演となる生田斗真くんが主演、久しぶりの地方公演など、様々な久しぶりと初めてがせめぎ合う作品となっておりまして、二年間の豊洲髑髏マクベスからの飛翔を意識した39(サンキュー)興行となっております。
観劇に当たっては特別な予備知識は必要ありません。時代背景は物語の序盤に説明されます。あと、パンフレットにも詳しく解説されています。ですが、中学程度の歴史知識があればちょっと助かります。
例えば、平安時代の末期に京都で権勢を誇った平清盛を代表とする平氏がいたとか、それに対抗して関東で力を付けた源頼朝を代表とする源氏がいたとか、頼朝には戦の天才である義経という弟がいたとか。そして平氏と源氏が争って源氏が勝ち、頼朝は鎌倉幕府を開いたとか、その程度の中学日本史です。

ですが、もう少し知識があると更に楽しめます。例えば、頼朝と義経は兄弟ですが、異母兄弟なので大人になるまで会ったことがなかったとか、源平合戦は瀬戸内海を兵庫から山口まで転戦しながらの闘いだったので海戦が多かったとか、平氏の旗が赤色で源氏の旗が白色で、そこから紅白歌合戦とか赤白帽とかができたんだとか、頼朝の正室である北条政子は大変にタフな女性なので頼朝は頭が上がらなかったとか、亀の前という側室がいたのだとか、その当時に奥州平泉(劇中では奥泉)を拠点とした別の勢力・奥州藤原氏(劇中では奥華氏)がいて、豊富な黄金を使った絢爛な仏教文化が花開いていたとか、義経は若い頃に奥州平泉に匿われていたとか、義経は平氏を滅ぼした後に色々あって兄弟仲が悪くなって奥州平泉に隠れ、そこで藤原氏に攻められて自害し、それを理由に頼朝が奥州藤原氏を攻め滅ぼしたとか。
これらの歴史的事実を知っておくともっと楽しめるってコトですよ。もうただあらすじを書いているだけなんですが、史実通りに物語が進むんだから仕方がないんです。ただし、今作は「虚実」入り乱れておりまして、ていうか「虚」が物凄くて、結果としてはここまで書いた「実」になるのですが、「虚」の部分が大変面白くなっております。そのあたりもお楽しみに。

今作の上演は、今年は大阪・金沢・松本だけ。来年新春に東京・博多公演がありますが、それまでお預けとなる地方の方が多いので、気になる方は遠征してみて下さいませ。今年版のみの出演となる橋本じゅんさん、新谷真弓さんファンの方は特にね。

ええと、その公演の宣伝ではありますが、フジテレビ系列「VS嵐」にて今公演を取り上げて頂いております。そして私も出演しております。オンエアは2/28。様々な競技で嵐の皆さんやチョコレートプラネットさんと争っておりますよ。私はなんの役にも立ちませんでしたし、トークでも特に盛り上がれませんでしたが、それはそれとして収録はとても楽しかったです。
大阪時代には関西ローカルのバラエティにも時々は出ておりましたが、東京に来てから全国ネットのバラエティに出演するのは初めてです。ご覧いただけますと幸いです。

てなワケで、盛り上がってまいりました「偽義経冥界歌」略して「偽歌(にせうた)」。すみません勝手に略しました。「偽義(にせよし)」でも構いません。稽古場での濃度が高いので、きっと面白くなると思います。どうぞご期待下さいませ!